メルセデスのルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグは、シンガポールGPから適用される無線通信の制限を歓迎している。
イタリアGP終了後、FIAは、走行中にチームからドライバーに対してマシンやドライバーのパフォーマンス改善のための情報を与えることを禁止することを決めた。
ドライバーがチームからのアドバイスなしに自分自身の判断で走るようにするため、FIAはチームからドライバーへの無線の通信を制限することを決定した。タイトル争いを繰り広げているハミルトンとロズベルグはチームから頻繁に細かいアドバイスを受けながら走っている。
FIAはチームに対し、無線でドライバーに伝えることが許される内容と許されない内容を細かく指定した。さらにこの制限はピットボードにも適用される。
Sky Sports News HQがハミルトンとロズベルグに個別のインタビューを行い、この問題について聞いたところ、ふたりともこれを歓迎すると述べた。
この規則変更が自分に有利に働くと思うかと聞かれたハミルトンは「そう願うよ」と答えた。
「カート時代のことを思い出す。カートの何が素晴らしいって、データが全くないことだ。つまり僕がどこで速いのか、誰も分からなかった」
「そういう方向に少し近づいたということなんじゃないかな。今はデータがたっぷりあって、それをすべて見ることができる。僕が何をしているのか、僕がどういう技を持っているのか、すべてが見られてしまう。どのチームのどのドライバーもチームメイトのデータを知ることができるが、そういう傾向が少し弱まるのだといいね」
「コース上を走っていて、各コーナーを速く走るために必要なバランスが完璧でない場合がある。あちこちで少しロスをしているのにそれに気付かないんだ。分かるのはギャップが縮められているということだけ。だからエンジニアに助けを求めることがある」
「でも今後は自分自身でやらなければならない。僕としてはそれがすごく嬉しい。カート時代に戻って、昔ながらのやり方で走ることになる」
ロズベルグはメルセデスのファクトリーで今週火曜、シミュレーターを使って無線状況の変化を確認したという。
「かなり興味深い状況になると思う」とロズベルグ。
「長年(無線)交信が100パーセント認められていたのに、今後はチームから僕に与えることが許される情報が20パーセントに減ってしまう。とても大きな変化だ」
「昨日ブラックリーのファクトリーで一日中シミュレーターに乗り、この変化に関する練習をした。覚えるべきことはたくさんあるけれど、うまくいったと思っている」
ロズベルグは今シーズン、ハミルトンと激しくポジションを争っている時に自分の情報が相手に伝わることでオーバーテイクが難しくなったことがあったとして、それは「本当に残念なことだった」と述べている。
「バトルをする上で純粋に僕らだけの戦いというわけではなく、自分自身が好きなようにブーストを使うことができなかった」
「でもたとえばこういったことが今後は完全に変わる。これからは自分だけで走り、自分自身で道を切り開かなければならないんだ」