17日、今季ヨーロッパのGP2に参戦している佐藤公哉と、AUTO GPドライバーの黒田吉隆がオートスポーツweb編集部を訪れ、今季これまでの戦いを振り返るとともに来季の展望について語ってくれた。
今年、GP2にステップアップを果たした佐藤は過去にチームタイトル獲得の経験もあるカンポス・レーシングから参戦。佐藤と同じくF1を目指す若手からGP2でキャリアを重ねたベテランまでが凌ぎを削る難関のシリーズにチャレンジしている。
だが、これまで佐藤が出場した8ラウンドで彼が手にしたポイントは未だ0と、決して満足できる内容ではない。並行して参戦したAUTO GPでは、貫禄すら感じさせる戦いぶりでチャンピオンを獲得した佐藤だが、勝手の違うGP2の現実には少し戸惑いの表情も浮かべた。
「シーズン前に話していた感じと違うのはもちろんですし、それは成績を見て頂いても分かると思います」と佐藤。
「浮き沈みが激しく、いい状態を継続することができないんです。もともと、去年の(バルワ・)アダックスを吸収したチームなんですが、他のチームにあって僕らのチームにないものがありすぎる」
「ミーティングでは納得してくれていても、後でやっていないことが分かったり、逆にやらなくていいと言ったことをやっていたりと、ある意味、我の強い人たちが集まっているので」
それでも、欠場明けのハンガリーでは予選4番手を獲得。あくまで、冒険したセッティングが決まっただけという佐藤だが、それまで呼び込めなかった流れを引き寄せ、本来のポテンシャルを示した。
「このままGP2を終わるのも気分が悪いですし、残るソチとアブダビでは一発かましたいですね」
気になる来季の去就についても、チームの移籍も視野に「GP2かその時の最善のカテゴリーをやりたい」と力強くコメント。
「いろいろと選択肢があります。もちろん限られたものですが、チームとも相談しながら、早ければ11月には決めて、安心してクリスマスを迎えたいと思いますね」
昨年のF1日本GPでザウバーのリザーブドライバーを務めた佐藤は、もちろんF1ドライバーという目標を今も持ち続けている。目前に迫った日本GPにも「今年は難しいと思いますが、やはり日本GPですし、いろいろ探っていきたい」と語ってくれた。
一方、昨年に続きAUTO GPで戦う黒田は、今後も海外での活動一本という思いを貫く。佐藤がプロとしてきちんと稼げるドライバーになりたいと、日本を含めたあらゆるカテゴリーを視野に入れる一方、黒田は日本という枠に収まらないという強い思いで、新たなチャレンジにも目を向けている。
「これからも、やるなら海外。もちろん年齢の事もあるので、今後はWEC(世界耐久選手権)などにも挑戦していきたいです」
「いろいろ話も頂いているし、年末にはどこかのテストも受けたいと思っています。LMP2はエンジンもAUTO GPと同じエンジンを使用しているのでパワー的にも問題はないと思います」
「ユーロノバでは一番年上なので、これからの若い人たちにも海外にいける道をつくっていきたいという思いもあります。F1のラインは佐藤君に、僕はWECのラインをつくっていければとは思っていますね」
厳しい環境の中、着実に海外で自らのキャリアを築いてきた佐藤と黒田。日本のファンも彼らの新たなチャレンジを応援している。