2014年09月16日 11:11 弁護士ドットコム
大学生のA君は今年の夏前、東京都内の片側2車線道路を原付で走行中に、警察官から呼び止められた。原付が走るべき一番左の車線が渋滞していたため、左から2番目のレーンに入って50メートルほど走ったところで、反則切符を切られたのだという。
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A君は、その場で「交通反則告知書・免許証保管証」(いわゆる青切符)と、反則金5000円の納付書を手渡された。しばらくは金額の大きさに落ち込んでいたが、しばらくすると「交通違反の反則金を支払わなかったら、どうなるのだろう?」という思いがわいてきた。
その理由は、なんとなく不公平感があったことに加えて、納付書に「反則金を納付しなかったら検察庁に送致されることになる」と書いてあったからだ。この書き方だと、反則金を納付しないという選択肢もありえるように思える。払わないことも可能なのだろうか。道路交通法にくわしい小西憲太郎弁護士に聞いた。
「この反則金制度は、交通違反について『行政が処分する』という手続です。
反則金を納めれば『行政からの処分』を受けたことになり、それ以上の責任追及はありません。
反則金を納めないこともできますが、その場合は『刑事裁判』の手続が始まって、最終的に刑罰を受ける可能性が出てきます」
反則金を納めないと、具体的にはどんな刑事手続が行われるのだろうか?
「反則金を納めず刑事手続に入る場合、通常は、交通裁判所への出頭を求められることになります。
ドライバーが交通裁判へ出頭し、かつ略式での処理に異議を出さない場合は、裁判官が書類をチェックして、罰金の支払い命令を出すことになります。
略式の処理とは、正式裁判によらないで、検察官が提出した書面で審査する裁判手続のことです」
ドライバーが交通裁判所へ出頭しなかったり、出頭しても略式での処理に応じないとどうなるだろう。
「その場合、正式な裁判を行うための手続きが行われることになります。こうなると、取り調べのため、警察署から呼び出しを受ける場合があります。警察署への出頭を拒んだ場合は、逮捕されてしまうこともあるので、注意が必要です。
その後、検察庁から呼び出しを受けることになりますが、ここでも、出頭を拒んだ場合、逮捕される可能性があります。
そして、最終的に、検察官が、ドライバーを起訴するか不起訴にするかを決定するのです。
つまり、A君が反則金を支払わずに放置していた場合、場合によっては、逮捕され、起訴されることもありえたわけです。反則金を支払うか否かは、その後に起こりうるリスクをよく考えて決める必要があるといえるでしょう」
小西弁護士はこのように指摘していた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
小西 憲太郎(こにし・けんたろう)弁護士
平成23年1月、大阪市北区に小西法律事務所を開業。離婚、相続、交通事故、労働問題、債権回収、借金問題、会社関係、刑事事件などオールマイティーに依頼を受ける。気さくで物腰のやわらかな人柄の持ち主である。
事務所名:小西法律事務所
事務所URL:http://www.konishilaw.jp/