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ブランドは「ものづくり」からしか生まれない――「メイド・イン・ジャパン再興」への挑戦

2014年09月13日 20:00  キャリコネニュース

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中国や海外からの安い製品に押されて、「ニッポンのモノづくり」の現場は衰退の一途…かと思いきや、最近は少し高くても上質な「Made in Japan(メイド・イン・ジャパン)」の商品が売れ行きを伸ばしているという。

国内工場への注文を増やす百貨店やスーパーに加え、ネット通販による「工場直販」商品を販売し始めたベンチャー企業もある。2014年9月9日放送の「ガイアの夜明け」(テレビ東京)は、メイド・イン・ジャパン再興に向けた取り組みを紹介した。

日本各地の優れた工場と組んで商品開発

IT関連企業に勤める小田さん(33)は、この1年でネット通販「ファクトリエ」からワイシャツやポロシャツを10点購入している。ワイシャツが1万260円、ポロシャツが8640円と安くはないが、「値ごろ感がある」と満足だ。

「買うなら日本のものがいいかなと。安いポロシャツと比べて、2~3回着ると着心地が違うし、もっと高い店の2~3万円するポロシャツと比べても変わらない感じなので」

東京・青山にある雑居ビルに、ファクトリエを運営するライフスタイルアクセントの東京オフィスがある。社長の山田敏夫さん(32歳)はサイトに載せる写真のモデルを自ら務め、「コストカットですね」と照れくさそうに笑っていた。

山田さんがファクトリエを始めたのは、2012年10月。日本各地の優れた技術を持つ工場と組んで、オリジナル商品を開発している。ジーンズは岡山・倉敷、ネクタイは京都・与謝、ポロシャツは千葉・東金で作られており、良質の商品を一流ブランドの3分の1から半額ほどの値段で販売している。

商社やメーカー・販売店を通さず工場から直接買い取っているため、価格を抑えることができる。さらに、工場が適切な利益を受けられるように、商品の卸値を工場側に決めてもらっているという。

協力会社で世界のブランドワイシャツの製造も手掛ける熊本・人吉市の「HITOYOSHI」吉國武社長も、「我々は製造工場を何年もやってきたが、下請けという立場が多かった」と振り返りつつ、ファクトリエとは対等の立場で商売することに共感を持って応えている。

「隙がない仕事」三越伊勢丹バイヤーも舌を巻く仕上がり

熊本の婦人服店に生まれた山田さんは、大学時代フランスに留学。パリにあるグッチの店で働きながら、ブランドについて学んだ。

グッチでは、「ブランドは"ものづくり"からしか生まれない」と常に言われていたそうだ。その上で、日本の工場と組んでブランドを立ち上げた理由をこう語る。

「日本を見たらメイド・イン・ジャパンが激減していて。それを変えるには、いま踏み出して、日本の工場・本当の"ものづくり"から、世界ブランドを一から生み出して行きたい」

この取り組みに目をつけた三越伊勢丹から、期間限定でファクトリエのショップを出したいという声がかかった。三越伊勢丹も今年から国産品の割合を増やす方針だ。ショップ向けに開発した新商品は、ニット製品生産額で日本一を誇る新潟県五泉市の工場が手掛けた。

三越伊勢丹バイヤーの額田純嗣さんは、上質のカシミヤシルクウールで仕立てたニットの袖口を裏返し、裏地とは思えない美しい仕上がりに「この糸始末はすごい。見えないところをちゃんとやる工場はいいですよね。隙がない」と感嘆した。

番組では「カバンの街」と呼ばれる兵庫県豊岡市の、市をあげて地場産業を盛り上げようとする動きも紹介。「受注生産だけでは生き残れない。自立し、自分から発信したい」との思いで、各メーカーが協力し「豊岡鞄」という統一ブランドをつくり専門店で売り出していた。

優れた技術が継承される日本であって欲しい

「豊岡鞄」の女性ものの赤いバッグは、安倍総理夫人の昭恵さんが気に入り、7月の外遊にも持参した。さらに日本製に力を入れ始めたイトーヨーカドーの注文で、女性向けのビジネスバックを開発、この9月から店頭に並んでいる。

優れた技術と誇りを持った「モノづくり」に携わる人たちは、百貨店やスーパーの要望に応えるために苦心しながらも、生き生きと楽しそうで、現場はにわかに活況を呈していた。ネット通販が確立した現在は、作り手が消費者に直接発信でき、可能性は広がっている。

豊岡市と各カバンメーカーは、カバン職人の専門学校を開き、若者たちに技術を教えているそうだ。よいものを作れば報われ、優れた技術が先々まで継承される日本であって欲しい。(ライター:okei)

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