今宮純氏が独自の視点でドライバーを採点。イタリアGPの週末を通して22人ドライバーのなかから「ベスト・イレブン」を選出。レース結果だけにとらわれず、3日間コース上のプレーを重視してチェック。
(最高点は☆☆☆☆☆5つ)
☆
ニコ・ロズベルグ
53周レース中に2度も同じところでブレーキングミス、チャンピオンシップリーダーらしくない。フリー走行中から気がかりだった減速プレー。「どこで踏み始めたらいいか」迷っているような場面に出くわした。25点を与えてあげたニコ、表彰台ではイタリア語でファンにトークサービス、マイクを持たせたらお上手。
☆☆
フェルナンド・アロンソ
2010年から1位、3位、2位、2位、モンツァ5年連表彰台はならず。偶然とはいえPUトラブルで止まった場所が3番目に高い指定席(380ユーロ・3日間)。リタイアしたときも“見せ場"をつくるアロンソ。華がある。
ジェンソン・バトン
モンツァ・パッケージは予選仕様で成功、しかしレースペースが苦しい兆候は金曜FP2から見られた。レスダウンフォースでのタイヤ・ケアが難しく、四苦八苦の末の4ポイントでチームランク5位を堅守したベテラン。
セルジオ・ペレス
ビッグブレーキングに強い彼がヒュルケンベルグに代わってフォースインディアのピンチを切り抜けた。スパ2点差をモンツァで1点差に。マクラーレンとの直接対決は拮抗したまま続く。
☆☆☆
キミ・ライコネン
カーバランスだけで言えば後半にきてF14Tは確実にインプルーブされている。2スペック・タイヤどちらとのマッチングもまとまってきた。しかしモンツァでは決定的な“実戦パワー"がルノーにも劣り、やむなく土曜からダウンフォースをカット。本拠地で1台が9位とはまれに見る大敗――。
フェリペ・マッサ
この結果を一番喜んだのはP・シモンズさんかマーケティング担当者か。マルティニの国でフェラーリをとうとう抜きランク3位上昇。15年契約も発表され、いいことばかりで2年ぶり“空中表彰台"に上がったマッサ。ティフォシも大歓声で讃えた。
バルテリ・ボッタス
スタートで3位→11位転落、チームスタッフが一発狙ったシステム設定をしたからだろう。そこから“撃墜王"は次々に追い落として行った。クールなバトルに集中、当てられても無線でいちいち「チャーリーに言いつけてくれ」、みたいな感情的な行動はしない。いつもと同じダッシュを切っていたなら、メルセデス勢を慌てさせる展開もありえた。
☆☆☆☆
ダニール・クビアト
1コーナーには350km/hでアプローチする。そこでいきなりノーブレーキに近い状況になった瞬間を想像すれば、彼が演じた危機回避ファインプレーの凄味が分かると思う。コース左側の狭い芝生ゾーンは「細いピアノ線」に見えたはず。そこをクラッシュせずコントロールするとは、二十歳の天才をまたまた痛感。
ルイス・ハミルトン
08年戴冠シーズンは5勝、それを超える6勝目はPPと最速ラップのハットトリックで。金曜から“元チームメイト"を圧倒、パラボリカをドリフトで攻め上げる走りに客席のティフォシも拍手(!)。シフトアップ加速しながら高速旋回するF1コース唯一のコーナー、ここを見れば誰が一番乗れているか一目瞭然なのだ。トラブルがまた起きた金曜FP2以外はすべてトップタイム、スタートで出遅れてもリーダーを追い詰めミスを誘った。22点差、ここからカウントダウン勝負が始まる。
☆☆☆☆☆
ダニエル・リカルド
注目されたモンザ最高速を決勝でリカルドが362.1km/hを記録。これは05年モントーヤ(マクラーレン・メルセデス)の372.6km/hに次ぐ2番目、レッドブル・ルノーでウイリアムズとメルセデスを超えた。1周目12位から得意のロングスティントで26周、ハードにつなぐとロッジア進入ブレーキングで次々にオーバーテイク。またも最終ラップで自己ベストタイムを叩き5位入賞、首位に70点差。開幕2戦をゼロからスタートしここまで来たのは驚異以外のなにものでもない。
小林可夢偉
報われない17位のベストレースにせめてここで五つ星を捧げたい。2年ぶりモンツァ、急きょ決定した復帰だけにFP2からとてもていねいにアプローチ、そこが変わった可夢偉力。予選では実に1.507秒も短縮、ちなみにビアンキは0.921秒、これはトップチーム・レベルの上げ幅だ。すべて彼のセットアップとドライビングによる。レース・ベストタイムはエリクソンより1.811秒も速く、このチームに今、誰が必要なのかは言うまでもない。
☆なし
他11人
(今宮純)