会社人生の中で、よき上司と出会えるかどうかは大きな要素だ。上司によって与えられる仕事や評価、仕事の進め方の指導が異なることも少なくない。
「Business Media 誠」の記事によると、人材育成事業のシェイクが社会人経験5年~24年目のビジネスパーソンを対象にした調査で「あなたは自分の能力を引き出してくれる上司に出会ったことがありますか?」と尋ねたところ、43.1%が「出会ったことがない」と回答したという。
「自分の強みは自分で見つけるんだ」と叱咤も
記事には、調査元の上林取締役のコメントが掲載されている。それによると、多くのビジネスパーソンは「自分はまだまだポテンシャルも余力もある」と感じており、それに対して上司は相手に踏み込み、期待をかけたアプローチができていないということだ。
業務のやり方などは教えられてはいるが、「動機づけられたり、力を引き出されたりはしていない」ということだが、これに対して上司に当たる世代からは、ネットで驚きと失望の声があがっている。ニュース共有アプリのNewsPicksのコメント欄にも、
「誰かに自分の能力を引き出してほしいって思ってるって事だとしたらゲンナリだわ。誰もいないよ。自分の強みは自分で見つけるんだ」
「能力開花、能力開発、モチベーション管理、体調管理…こういうのを自分でやれるのがプロ」
「甘えん坊だね 会社は、学校ではありません。仕事!お金をもらってるんです!」
「なんで自分で引き出そうとしないの? ただの甘えだろ」
と部下を叱咤するような言葉が続く。どんなに良い上司と出会ったとしても、「最終的に潜在能力を引き出すのは自分自身」というコメントもある。上司に過剰な期待をするな、うまくいかないのを他人のせいにするな、ということなのか。
上司に能力を引き出してもらおうとする考えには、自惚れが根本にあると指摘もあった。「そもそも潜在能力があるかさえ怪しい」「ないものは引き出せない」というのだ。堀江貴文氏も「はは。自分の能力のなさ棚に上げすぎ」と一刀両断にしていた。
こうした書き込みをするユーザーのプロフィールを見てみると、会社経営者や個人事業主が目立つ。独力でやってきた自負があるからこそ、「能力を引き出してもらう」という受身的な考え方に反感を持ってしまうのだろうか。
マイケル・チャンに出会った錦織選手はどうなのか
記事では、自分の能力を引き出してくれる上司に「出会ったことがある」と回答した人の割合は記載していないが、「出会ったことがない」以外の回答者すべてとすると、6割近くの人が恵まれた経験をしていることになる。
NewsPicksにも、上司が能力を引き出すことをスポーツに例え、「優秀な先生やコーチに出会えるかどうかで未来が決まる。個人の知識や努力だけでどうにかなるレベルじゃない分野っていうのは必ずあるから」というコメントがあった。
先日、テニスの全米オープンで準優勝を果たした錦織圭選手も、世界的テニスプレーヤーのマイケル・チャン氏がコーチに就いたことが、今回の快挙につながったと言われている。すぐれた上司の支援を受けることで、資質がより発揮しやすくなることは確かにある。
スポーツのような熱心な指導がなくても、上司によって「部下が動きやすい、動きにくいって絶対ある」という意見も。部下一人ひとりの得手不得手を把握しながら、活躍する場を与えるのも上司の腕の見せどころだ。
ただ、上司が能力を引き出していたとしても、部下本人が気づくかはまた別の問題だ。いい上司ほど、部下に「自分で成長した」と錯覚させるのがうまいという意見もある。「自分の強みは自分で見つけるんだ」と突き放す人たちも、過去を謙虚に振り返ってみてはどうだろう。
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