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「大阪市は労働組合への敵対姿勢を改めよ」庁舎使用裁判で勝訴した労組が声明(全文)

2014年09月11日 16:11  弁護士ドットコム

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橋下徹・大阪市長が、職員労働組合の市庁舎使用を許可しなかったのは違法だとして、労働組合が大阪市を訴えた裁判。大阪地裁は9月10日、組合側の訴えを認めて、処分の取り消しと損害賠償を認める判決を下した。大阪市は対応を検討中という。


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原告である労働組合8団体は、長いところでは、1982年から1年ごとに、組合事務所として市庁舎地下1階の一部を使う許可を受けていた。ところが橋下市長は2012年、市の議会で労働組合らの政治活動が問題になったことなどを受けて方針を転換。市庁舎の使用申請を不許可としたことから、裁判になった。



組合側は、長年続けられてきた使用許可を一方的に破棄することが、組合活動の妨害である「不当労働行為」にあたると主張していた。



大阪地裁は判決文で、2012年から2014年にかけての3回の不許可処分について、行政事務スペースとして使用する必要性や使用許可の弊害など、大阪市が「重視すべきでない考慮要素を重視」していると指摘。今回の不許可処分は、「市長の裁量権を逸脱・濫用」していると述べ、「違法だ」と認定した。



判決を受けて、大阪市労働組合連合会、自治労大阪府本部、自治労・大阪市労連弁護団は声明文を発表した。その中で、「大阪市は控訴をすることなく、速やかに労働組合に対する敵対姿勢を改め、正常な労使関係を回復することを求めます」と要望している。



声明の全文は次の通り。



●大阪市組合事務所退去事件判決についての声明(全文)


2014年(平成26年)9月10日午後1時30分、大阪地裁は,大阪市労連、大阪市職、大阪市従、学給労、学職労・学職組の提訴した大阪市組合事務所退去事件について判決を言い渡しました(大阪地裁平成24年(行ウ)第78号・25年(行ウ)80号・26年(行ウ)第65号)。


判決の内容は次のとおりです



不許可処分取消について 認容


損害賠償について    認容(合計350万円)



理由



退去要求の経緯・目的→市長の団結権侵害の意図を認定


スペース不足論→退去を求める理由とはならない


労使関係条例12条→違法行為を適法とするものとしては無効



大阪市の本庁舎地下において、長年にわたり継続的に組合事務所が設けられ、活動拠点となってきました。



日本の労使関係において、労働組合事務所提供は当然のこととして広く定着しており、正当な理由のない退去要求が違法となることは、数多くの判例及び労働委員会命令において確立しています。



組合事務所は組合活動の基本となる施設であり、使用者が退去を求める場合は、事前に充分な協議交渉が必要とされます。



2011年12月の市長就任直後から、橋下市長は組合事務所を本庁舎から退去させると公言しました。これを受けて大阪市は退去を通告し、2012年4月以降の組合事務所使用許可申請を不許可としました。事務所退去の理由は組合活動に対する妨害であり、違法であることは明らかです。退去についての団体交渉は拒否されました。



本訴において、大阪市は、本庁舎のスペース不足が不許可の理由であると主張しましたが、これは後日のいいわけです。



本日、大阪地裁第5民事部は、大阪市の主張を退け、組合事務所退去の違法性を明確に認定しました。



組合事務所退去要求について、労働委員会に引き続き、大阪地裁においても、大阪市の違法行為が認定され、不許可処分が取り消されました。大阪市は控訴をすることなく、速やかに労働組合に対する敵対姿勢を改め、正常な労使関係を回復することを求めます。


(弁護士ドットコムニュース)