PCサポーターのお仕事あれこれ事件簿(?)として、この連載をしておりますが、そもそもこういった仕事をするのにどんな資格が必要なの?という質問をいただきました。
確かに、誰にでもできる仕事ではないように見えるでしょう。であれば、必要な知識があるという証明にもなる「何らかの資格」が必要なのだろうと考えるのが、普通かもしれません。というわけで、今回はPCサポーター業に必要な資格という話をしようと思います。(文:光明隠歌)
「知識があること」を証明できる方法があればいい
いきなり結論ですが、こういったサポート業をするにあたって必須資格というものは、現状ありません。医者になるには医師免許が必要ですが、PCサポーターになるには免許など必要ないのです。
もちろん、PCを物理的に修理するにしても、電話でサポートするにしても、知識は必要です。ですが、この試験に受かってなければできないとか、この資格がないとできないといったものはありません。
一応、私は「初級システムアドミニストレータ試験」や「ドットコムマスターシングルスター」といった資格・試験合格は持っていますが、これらの資格がなくても仕事はできます。
「ITパスポート試験」や「基本情報技術者試験」に合格する程度の知識がないと、いろいろ苦労はしますが、逆に言えば、知識があることを別の方法で証明できれば、お金を払って資格をとる必要はなかったりします。
そうは言っても、就職するときにこれらの資格を持っていると優位に働くことは事実です。資格持ち=知識があるという証明ですから、特に最近の風潮である「即戦力」を求める企業においては、こういった資格を持っているかどうかで合否を決めることもあります。
ただ、実際に新人教育を担当してきた経験から言いますと、資格を持っているのにもかかわらずそのレベルの知識がないという方も存在します。下手すると「お前、本当に試験合格してる?」とぼやきたくなる、偉そうに間違った知識を披露する資格持ちの方が入社してきたりもします。
「プラスドライバーがちゃんと使える人間」は欲しい
また、PCサポートといっても、どこまでやるかによって変わってきます。私は、
・基板などのハード部分を交換したりする仕事
・電話などで故障具合を伺って、どの部分が異常なのか原因を切り分ける仕事
・初めてパソコンを購入した人に対し、初期設定からプリンタのインストール、インターネットの設定、はてはパソコンの使い方の指導など
といろんなことをやっておりますが、いくら知識があっても、これらの仕事をすぐにこなせるわけではありません。OJTと呼ばれますが、現場で学ぶことも非常に多いのです。
なお、「資格手当」が給料に上乗せされる会社もありますので、資格を持っていて損することはありません。ただ、入社後に資格を取得すると受験費を負担してくれる会社もあるので、結局資格は後からどうにでもなるのです。
というわけで、IT関係の資格はなくても仕事はできます。資格はなくてもいいので、むしろ「プラスドライバーがちゃんと使える人間」の方が欲しいというのが、仕事をしている身としては本音だったりします。ええ、たまにそういう方が入社してくるんですよ。
地方の客先には「自動車」でしか行けないところも
ただし、これがないと仕事ができない資格・免許が実はあります。IT系資格とは別に。それは「普通自動車免許」です。
客先に出張サポートに行く仕事の場合、ほぼ必須の免許です。都内ですと鉄道や地下鉄などが使えますが、地方は社有車を使い、自分で運転して客先に行くことを求められがちです。鉄道やバスなどを使っていては、客先に辿りつけない場所というのもあるのです。
また、客先出張サポートの場合、一人で伺うことが多いです。大企業のシステム入れ替えなどといったケースでないと、複数人で伺うことはありません。ですので、交通違反などで免許停止処分がかかると、仕事ができなくなってしまいます。
また「ペーパードライバーなので運転したくないんです」と言われても、やっぱり仕事にならないので困ってしまいます。そうなると、どれだけIT能力があっても運転免許が不要な職場に異動となったり、最悪の場合、退職を促すようなところもあったりするようです。
今後PCサポーターの仕事につきたいなあと考える皆様、IT知識も重要ですが、それ以上に安全運転できる能力が重要ですよ。がんばってくださいね。
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