世界戦初シーズンを迎えている世界ラリークロス選手権は、第8戦が9月7日、フランスのロエアックでファイナルが行われ、ポールポジションからスタートしたペター・ソルベルグ(シトロエンDS3)が完璧な走りで制し、今季3勝目をマークした。
ラリークロスが盛んなフランスにおいて、ラリークロスの聖地として知られるロエアック。世界戦カレンダーの中でも難関のひとつで、特に第1コーナーを制することが何よりも重要とされる。そのためには「スーパーフォーカス、ホイールスピンはしすぎない」ことがポイントだ。
前日の第1、第2ヒートではマシンの調子が今ひとつだったペター。「でも夜の間にメカニックたちが大幅に変更してくれて、朝までがんばってくれた。そこからは僕の仕事。セミファイナルでは、マシンにスピードとトラクション、安定性があったよ」
とメカニックを讃えるペターは、セミファイナルをトップで通過し、ポールポジションを獲得。ファイナルでもロケットスタートを決めると第1コーナーを制し、その後も一度も首位を譲らず、「典型的なペター・ソルベルグの走り」と評価されたようにダイナミックなドリフトで、ロエアックに待ち受ける数々の難コーナーをクリア。2位以下に1.5秒以上の差をつけての快勝を決めた。
「とにかく信じられない気持ちだよ。言葉が見つからない。本当に厳しい週末だった。キャリアの中で5本の指に入るくらい厳しかったし、気も張りつめた。暑さやマシンだけじゃない。何万人ものスペクテイターからサインや撮影をせがまれ、ものすごい熱気だった。もちろん、嫌いじゃないけどね!」とペターは興奮が冷め止まない。
「去年のロエアックでは、優勝目前だったから、その目標を成し遂げて最高の気分。ラップレコードも叩き出してフィニッシュできたこともうれしいね。ここから先は、冷静に、各戦でポイントを獲得していく戦略だ。レイニスとの28ポイント差はまだ大差ではない。僕たちもいつトラブルが起きるか分からないからね」
そのペターがセミファイナルに入る前、唯一警戒するドライバーとして名前を挙げていたのが、今季1勝をマークして選手権3位につけていたレイニス・ニッティス(フォード・フィエスタST)だった。セミファイナルは3番手タイムでファイナルを2列目からのスタートとなったが、第1コーナーのせめぎ合いを冷静に対処してすかさず2番手を奪取すると、その後もペターの背後にくらいついてポジションをキープ。今季4度目のポディウムとなる2位フィニッシュを果たし、選手権争いでも2位に浮上したが、ソルベルグとの差は23ポイントに広がっている。一方で、ニッティスの所属するフォード・オルスベルグMSEは、チームズ選手権で再び首位に浮上した。
3位は中間ポイントでトップにつけていたティミー・ハンセン(プジョー208)。4位にはケン・ブロック(フォード・フィエスタST)が入った。
今季の世界ラリークロス選手権は残り4戦。次戦は9月20-21日、ドイツ北部のハンブルグ近郊、ブクステフーデにあるラリークロス専用コース、エステリンクで開催される。
世界ラリークロス・フランス戦ファイナル結果
1 Petter Solberg 3'48.241
2 Reinis Nitiss 3'49.690
3 Timmy Hansen 3'49.854
4 Ken Block 3'50.991
5 Pontus Tidemand 4'04.793
6 Timur Timerzyanov N/A