たくさんのティフォシが訪れているアウトドローモ・ナツィオナーレ・ディ・モンツァ。フェラーリのマシンが前を通る度に拍手と歓声が沸き起こり、好タイムを記録すると、その盛り上がりはさらに増していきます。実に情熱的なサーキット。「まだ金曜日ですよ。そんなボルテージで、日曜日までもつんですか?」と言ってあげたくなるほどの熱狂ぶりです。
金曜日の午後に行われたフリー走行2回目。トップタイムはいつものようにメルセデスAMGの2台が占めましたが、3位と4位はフェラーリのキミ・ライコネンとフェルナンド・アロンソのふたり。そりゃあ、ティフォシが熱狂するはずです。
タイムシートの1-2を占めたのはメルセデスAMGのふたりですが、ロングランのペースを見てみると、ものすごいペースで周回を重ねたドライバーが他にひとりいました。それは、ウイリアムズのバルテリ・ボッタスです。ボッタスはミディアムタイヤを装着し、22周にもわたるロングランを実施。1分28秒台をズラリと並べてきています。このペースは、ライバルたちより1周あたり0.5~1秒速いもの。この差が本当なら、ボッタス圧勝です。そのくらい速そうです。
ウイリアムズは今回のグランプリに、エアロのアップデートを持ちこんできています。これが功を奏しているようで、ボッタスも「ローダウンフォース仕様だとちょっとスライドするけど、問題ないよ。ロングランのペースには、本当に満足している。でも、もう少し行けるよ」と自信満々のコメント。“直線番長”の名をほしいままにしている今季のウイリアムズが、いよいよ表彰台の頂点に立つ日が来るかもしれません。
ボッタスの次に速そうなのが、やはりメルセデスAMGのニコ・ロズベルグです。ですが、コメントを聞いても今回ばかりはあまり自信がなさそうなのが気がかりです。
「1発は速いんだけど、ロングランになると、別に速いヤツがいるからなぁ……」
今季のメルセデス陣営からは、なかなか出てこないニュアンスの発言で、私少々驚きました。しかも今回のグランプリにはハードとミディアムという硬い組み合わせのタイヤが持ちこまれており、デグラデーション(タイヤの性能劣化によるラップタイムへの影響)が少ないはずですが、ロズベルグのマシンにはデグラデーションが起きているような兆候が見てとれます。
チームメイトのルイス・ハミルトンは、2番手のタイムを記録しましたが、電気系のトラブルで貴重な走行時間を失っています。未だにトラブルが頻発するハミルトンのマシン。ハミルトンも「トラブル無しで予選を戦えることを祈るよ」と語っており、これが最大の懸案となるかもしれません。
とはいえこれまでも、初日に不調を訴えてもポール・トゥ・ウインを成し遂げてきたメルセデス。FP3⇒予選⇒決勝と徐々にペースを上げ、あっさり勝利を持って行ってしまう可能性は十分あります。
フェラーリの2台は、メルセデスに匹敵しそうです。特にキミ・ライコネンのペースは非常に安定していて、デグラデーションが出るどころか、むしろ走る度にペースが上がっていっています。フェルナンド・アロンソもライコネンに匹敵するペースですが、それほど長いロングランを行っていないのが気懸り。10周以上の連続走行を、1度も行っていないのです。
もうひとり速そうなのが、フォースインディアのセルジオ・ペレスです。ペレスのミディアムタイヤとハードタイヤでのロングランペースを比較してみると、彼が相当量の燃料を積んでいたらしいことが分かります。なぜなら、ミディアムでのタイムよりも、ハードでのタイムの方が速いからです。一方、前出のウイリアムズとフェラーリは、もしかしたら燃料が軽い状態でのタイムだった可能性もあります。
レッドブルのセバスチャン・ベッテルとダニエル・リカルド、そしてウイリアムズのフェリペ・マッサの3台も、この争いに加わってくるかもしれません。ゆえに、フリー走行2回目の結果を鵜呑みにするならば、ボッタスが先頭を逃げ、2位以降を8台のマシンが競うという、これまでにない展開のレースとなるでしょう。
しかし、ボッタスのこの速さはホンモノなのでしょうか? まずはフリー走行3回目と予選の結果にご注目ください。
(F1速報)