8月29日、スーパーGT第6戦に先立ち鈴鹿サーキットにおいて、大々的に2015年から開催されるFIA-F4の発表会が行われたが、それとは別に新たな入門フォーミュラの概要が明らかにされた。鈴鹿クラブマンレースで根強い人気を持つ、FEこと『フォーミュラEnjoy』に新型車両が導入されることとなったのだ。実車の披露に先駆けて、メディアセンター内に1/4スケールモデルが展示された。
従来のFE(FE1)がスポーツカーノーズを採用し、リヤウイングが固定されていただけに、前後に調整可能なウイングを備える新型FE(FE2)は、その点だけでも印象がかなり異なっている。またインディカー風のサイドポンツーンも外観上の特徴となっているとともに、安全性の確保にも貢献している。
FE2導入の理由として挙げられるのは、FE1が搭載する初代ホンダ・フィットの1300ccエンジンが生産ラインから外れ、入手困難になりつつあることだ。そこで現在のフィット3に積まれる1300ccエンジンへ変更されることとなった一方で、新旧のエンジンがカタログ上で14馬力も異なるため、FEというカテゴリーもスタートから12年を経過していることから、シャシーも改めようというところ。
ところで、そもそもFEなるカテゴリーが、今はそう馴染み深いものではないのは事実だ。近年は鈴鹿クラブマンレースでのみ開催され、それまでも鈴鹿から門外不出のレースだったからである。そのいちばんの理由はイコールコンディションとローコストの管理を徹底したため。そのため、使用できるパーツを指定したばかりか、メンテナンス費など料金まで統一されたほどだった。
何はともあれ、FIA-F4も入門カテゴリーと称されるが、こちらはカートレースなど、すでにコンペティションを経験した上での“入門”であるのに対し、FEはさらに幅広い入門カテゴリーだと言えるだろう。昨今では120馬力のスーパーFJでさえ「速過ぎる」と言われる時代に、100馬力のエンジンを搭載し、スケールモデルではスリックタイヤを装着しているように見えるが、実際には溝の刻まれたスポーツラジアルを装着する。
そして、誰もが最も気になるであろう販売価格だが、税別で283万円が予定されている。昨今ではスーパーFJですら一部のモデルは500万円を超えるだけに、本当の意味での“入門”には、妥当な金額だと言えよう。FE2の実車披露は9月中が予定され、10月にはデリバリーが開始。11月22~23日に行われる鈴鹿クラブマンレース最終戦に実戦投入の予定となっている。もちろんFE1との混走で、別賞典となるはずだ。
来年以降も鈴鹿ではしばらく混走レースとなるが、非常に興味深いのは、いずれ先に述べた鈴鹿から門外不出の大前提を解き、全国展開もFE2は視野に入れられているということである。FE1発足の頃とは異なり、現在も活動を続けるガレージは高いレベルを維持し、公正に活動している。その意味において、イコールコンディションとローコストの管理が、鈴鹿だけでなく地域ごとでも可能だと判断されたのだろう。今後が大いに注目される。
(はた☆なおゆき)