柳楽優弥の主演映画『最後の命』の公開日が11月8日に決定。あわせて主題歌がCoccoの“Snowing”になることが明らかになった。
同作は、2005年に『土の中の子供』で『第133回芥川賞』を受賞した中村文則の同名小説が原作。中村にとっては、初の映像化作品となる。幼少期に集団婦女暴行事件に巻き込まれ、その記憶に苛まれながら成長した明瀬桂人と冴木裕一の関係性を軸に、7年ぶりに2人が再会した日に桂人の部屋で顔見知りの女が殺され、冴木が婦女連続暴行事件で指名手配中であることが判明したことから展開される物語を描く。
幼少期の事件の記憶から人と肌を重ねることに穢れを感じ、他人と深く関わらないように生きる主人公・桂人役を演じるのは柳楽優弥。事件以後、社会的に認められない激しい衝動に駆られていることを隠しながら成長した冴木役を矢野聖人、母親からの束縛により精神を蝕まれ、入院している桂人の恋人・香里役を映画初出演となるモデルの比留川游がそれぞれ演じる。さらに、りりィ、滝藤賢一、中嶋しゅうらがキャストに名を連ねている。監督は、2012年の『まだ、人間』で長編映画監督デビューを果たした松本准平。
同作の主題歌となった“Snowing”はCoccoの新曲。同曲は、あわせて公開された予告編映像でも一部使用されている。Coccoの楽曲が映画主題歌になるのは、2010年の映画『やぎの冒険』以来約4年ぶりとなる。なお、Coccoは9月18日から主演舞台『ジルゼの事情』の再演が決定しているほか、10月8日に約4年ぶりのオリジナルフルアルバム『プランC』をリリースする。
【柳楽優弥のコメント】
登場人物の抱える問題や人間の本質のようなものが、物語が進むにつれて浮き彫りになっていく様はとてもスリリングでした。長いトンネルの先に出口はあるのか、手探りで探し求める登場人物達、それぞれの決断を見届けてもらいたいです。Coccoさんの楽曲が元々好きでエンディングで流れた時は感動しました。作品の持つ世界観に深みが増し、まるでトンネルの出口から差し込む光のような楽曲です。
【矢野聖人のコメント】
凄く言葉にするのが難しい作品だと思いました。それは観る人によって違う感じ方をすると思ったので。最後の命というタイトルではありますが、鑑賞後は希望が見えとても爽やかな気持ちになっていたのは自分でも驚きました。冴木を演じることができ誇りに思います。最初から誰になるのかどんな曲になるのか、気になっていましたが、Coccoさんの曲を聴きピッタリと心の中に作品と歌が収まった気がします。Coccoさんの曲のリズムや歌詞や歌声、全てが最後の命の世界観とバイブレーションを起こし合わさっていていいなぁと思いました。
【比留川游のコメント】
原作を初めて読んだ時に、人間は矛盾を抱えて生きている生き物なんだな...と思いました。そこにとても共感したので、この作品に参加することが出来てすごく嬉しいです。皆さんが、「最後の命」を観て、何を感じて頂けるのかとても楽しみです。昔からCoccoさんの大ファンだったので、主題歌がCoccoさんだと知り嬉しかったです。映画のイメージにもとても合っていると思いました。
【中村文則のコメント】
エンドロールが流れる中、とても感動していました。人間の内面の奥底にある性の揺らぎ。時にそれは悲しく、人の人生を左右してしまう。なかなか触れにくいその性のテーマを、通俗的でなく、深く、静かに見つめたこの物語を、映画を愛する様々な人に観て欲しい。そう強く思いました。悲しくも映る世界の中で、何とか強くあろうとした人達。スクリーンの向こうのそんな登場人物達に、心が深く揺さぶられました。松本監督を初め、スタッフの方達の能力の高さに驚き、そして各役者の方々の才能に目を見張りました。主演の柳楽優弥さんを中心に、各役者の方々の個性が立っている。主演とは何か、助演とは、脇を固めるとはどういうことなのか、という深い映画論にまで思いが及ぶほど、柳楽さんや、その周囲でしっかりと立つ各役者の方々を心から尊敬することにもなりました。Coccoさんの歌う主題歌も、内面に染みわたる大変素晴らしいものでした。作家として、今深い喜びを感じています。