2014年09月04日 15:01 弁護士ドットコム
クリアすることが非常に困難な「無理ゲー」として名高いファミコンソフト「トランスフォーマー コンボイの謎」。この伝説のゲームが8月にスマートフォン向けアプリとして「復活」し、話題を呼んでいる。
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ファミコンソフト「コンボイの謎」は1986年に発売されたアクションゲームだ。相手の攻撃を避けつつ、敵を倒すわけだが、プレイヤーからは「敵が素早すぎる」「敵が小さくて攻撃があたらなさすぎる」「自機のやられ判定が大きすぎる」といった意見が続出。多くのプレイヤーがクリアをあきらめ、「伝説の無理ゲー」として、ゲーム史に名を残すことになった。
この手のゲームは「クリアしたときの達成感」が格別といえるが、「無理ゲー」の場合、ほとんどの人がそれを味わえないことになる。ゲームが難しすぎるせいでフラストレーションがたまったプレイヤーは、「お金を返して」と店にいえるのだろうか。消費者問題にくわしい上田孝治弁護士に聞いた。
「ゲームに限らず、およそ商品やサービスには、そこから得られる『便益』や『効能』があります。購入者は、こうした『便益』や『効能』への対価として、代金を支払うわけです。
これをひっくり返すと、商品やサービスが、『当然に要求される便益や効能』を備えていなかった場合に、返金を求めることができるということになります」
それは、どうやって判断すればよいだろう。
「商品やサービスの特性や、商品説明などをふまえて、『便益』や『効能』があったかどうかを判断することになります。
わかりやすいのは、たとえば、購入した本のページが欠けていたような場合で、それなら返金や交換をしてくれと言えます」
では、クリアがほとんどできない「無理ゲー」はどうだろう?
「次々と現れる障害を乗り越えて、クリアを目指すという形式のゲームの場合、『最終的にクリアできる』ということは、備えておくべき重要な要素といえるでしょう。
ゲームはもちろん、クリアするまでの一つ一つの過程が楽しいものですが、その楽しさは、最終的にクリアすることにつながるということも、大きく関係しています。
ゲームが『そもそもどうやってもクリアできない』なら、挑戦する気は起きにくいですし、過程を楽しむことも難しいでしょう」
すると・・・「無理ゲーだから金返せ」と言える?
「いえ、そうとも言えません。たとえば、逆にあまりにも簡単にクリアできてしまうと、それはそれでつまらないゲームとなります。
プレイヤーの技量にはかなりの開きがありますので、難しさのバランスについては、法律上、『これが正解』というような明確な線引きは、非常に困難です。したがって、どの程度難しいゲームとするかについては、ゲームをつくる側にかなりの裁量が認められます。
つまり、およそ誰もクリアできないようなゲームでもない限り、難易度を理由にして返金を求めるのは難しいと言えます」
上田弁護士はこのように述べていた。
なお、スマフォアプリ版の『キュートランスフォーマー 帰ってきたコンボイの謎』は、ゲーム内容こそ異なるものの、相変わらずの高難易度だという。ファミコン版をプレイしたことのある記者は「音楽や雰囲気はこんな感じでした」と、当時を懐かしんでいた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
上田 孝治(うえだ・こうじ)弁護士
消費者問題、金融商品取引被害、インターネット関連法務、事業主の立場に立った労働紛争の予防・解決、遺言・相続問題に特に力を入れており、全国で、消費者問題、中小企業法務などの講演、セミナー等を多数行っている。
事務所名:神戸さきがけ法律事務所
事務所URL:http://www.kobe-sakigake.net/