8月31日に決勝レースが行われたスーパーGT第6戦インターナショナル鈴鹿1000km。ハイスピードな濃密な戦いが展開されたレースだが、この決勝レースのスタート時に、三重県警察の白バイ2台、パトカー2台がフォーメーションラップ前の隊列を先導する初の試みが行われた。
スーパーGTでは今季、GT500クラスのブレーキやタイヤの加温のために、多くのレースで1周のウォームアップラップと1周のフォーメーションラップが行われスタートが切られる。通常、このラップの際はニッサンGT-Rのセーフティカーが隊列を引っ張ることになるが、今回はGT-Rの前に白バイ2台、パトカー2台が陣取り、“パレードラップ”として隊列を引っ張った。
この白バイとパトカーの走行は、“交通安全啓発活動”として三重県警察の協力で実現したもの。本来、静岡県警察の協力で第5戦富士でも行われる予定だったが、第5戦開催時は台風11号上陸ということもあり、警察本来の業務があったため実現しなかった。
しかし晴天に恵まれたこの日は、ピットウォーク時に白バイ2台と、トヨタ・クラウン、スバル・インプレッサのパトカーが登場。交通警察官が詰めかけたファンに笑顔で対応し、子どもたちに白バイ搭乗をすすめたり、パトカーの中を披露したりといった活動を行った。
迎えた決勝レースでは、あまり低速ではレーシングカーに悪影響が出てしまうため、90km/h~100km/hというペースで白バイ2台、インプレッサ、クラウンが鈴鹿サーキットを1周回。これにGT-Rのセーフティカー、38台(1台はピットスタート)のスーパーGTマシンが続いていった。
白バイ、パトカーは赤色灯を光らせ、目立ち度は十分。1周をこなす間、スーパーGTオフィシャルアナウンサーを務めるピエール北川アナウンサーが、『三重県警からのお願い』という形で飲酒運転撲滅や、シートベルトの大事さなどをサーキットに詰めかけた3万6000人に向けてアナウンス。とかくこういった交通安全に関するコメントは堅くなりがちだが、レースへの高揚する雰囲気がしっかり保たれていたのはさすがといったところ。
白バイ2台、パトカー2台は、1周のパレードランを終えピットロードに向かい、その後1周のフォーメーションラップが行われ熱戦の火ぶたが切られた。
「交通ルールを守ってもらう啓蒙活動、モータースポーツは暴走族とは違うという雰囲気を官民一体で作っていきたい。それを見ているお客様に伝えたい」とスーパーGTをプロモートするGTアソシエイションの坂東正明代表はこのコラボの実現について語る。
以前から坂東代表は、警察との協力について「西部警察のようなシーンを作りたい(笑)」と語っていたが、スプーンからバックストレートに入り、130Rに向けて駆け上ってくる様はさながら西部警察のエンディングシーンのようだった。