カリフォルニア州フォンタナで開催されたベライゾン・インディカー・シリーズ最終戦。30日に行われた500マイルの決勝レースは、トニー・カナーンがチップ・ガナッシ移籍後初勝利を果たし、シリーズチャンピオンは、ライバルを退けたウィル・パワー(チーム・ペンスキー)が悲願の王者を獲得した。佐藤琢磨(AJフォイト)は6位で最終戦を終えた。
日が傾き、涼しくなった夜の7時過ぎにスタートした最終戦の決勝レース。序盤はファン・パブロ・モントーヤ(チーム・ペンスキー)がリードし、57周目か らは予選11位だったジェイムズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポート)のリードに変わった。しかし、ヒンチクリフのトップは長続きせず、74周目には再びモントーヤがトップに。
レース中盤の最速は一昨年のフォンタナ・ウイナーであるエド・カーペンター(エド・カーペンター・レーシング)。しかし、彼はトップに立った後のピットでスピード違反を冒して後退する。
その後には予選9位だったライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)にトップの座が映った。しかし、彼はトニー・カナーンとのバトルの最中にターン4で単独スピン。メインスタンド前の芝生の上でエンジンストールして 周回遅れに陥った。このハンター-レイのスピンによるイエローが、今日のレースでの唯一のフルコース・コーションとなった。
144周目、カストロネベスがトップに復活。しかし、178周目のピットストップで再びカナーンが逆転。リスタート後にパワーがトップを奪った時期もあったが、トップに出ようと踏ん張ったところでタイヤを消耗させたらしく、パワーは徐々にペースが下がっていった。
終盤再びトップに浮上したカナーンはその後リードを守り、今シーズン初優勝、チーム移籍後初勝利を飾った。終盤にチャンスが訪れるのを待つ。その作戦が見事的中した。2位はディクソンでターゲット・チップ・ガナッシ・レーシングの1-2フィニッシュとなった。
ミカイル・アレシンがファイナルプラクティスで負傷して欠場したため20番手スタートだったパワーは少しずつ、着実にポジションを上げていき、150周回を越えてトップ10入り。178周目のピットストップを終えた時点で5位にまでポジションを上げていた。
パワーが意識すべきなのは、ポイントランキング2位からの逆転を狙っているカストロネベスだった。彼はずっとトップグループを走っていた。しかし、もう土壇場と言っていい220周目付近のピットストップで“ピットレーン・エントリー・ヴァイオレーション”を冒し、ドライブスルーペナルティの対象に。これで彼のタイトル獲得の望みは霧散した。
「またシリーズランキング2位になった。このことは来年、更に強くなってシリーズに戻って来る、そのモチベーションとなる。力強く戦えていたと思う。しかし、少し心が痛い」とカストロネベスはコメント
予選4位からスタートした琢磨は6位で最終戦を終えた。
「トラフィックでのマシンがよくなかった。4位スタートだったから、その順位より上でゴールしたかったですね。トラフィックの中でのマシンが完璧じゃなかった。もちろん、6位は嬉しいですけれど……。チームが諦めずに頑張ってくれていました。最終2戦で好成績を残せたのは、 来年に繋がるパフォーマンスだったと思います」と琢磨はコメントした。
50ポイントのリードを持って最終戦の決勝レースに挑んだパワーは、タイトル争いのライバル、カストロネベスとサイモン・ペジナウ(シュミット・ピーターソン)よりも上位の9位でゴールし悲願のシリーズチャンピオンを獲得することとなった。
(Report by Masahiko Amano / Amano e Associati)