2014年08月31日 10:51 弁護士ドットコム
ゲームやマンガ、アニメとして子どもに人気で、社会現象といえるほどのブームとなっている「妖怪ウォッチ」。8月には、新作の時計型おもちゃ「DX妖怪ウォッチ タイプ零式」が発売され、全国各地で長蛇の列ができた。あまりの人気に「買えなかった…」と肩を落とすお父さん、お母さんが続出。増産の発表もされているが、入手には時間がかかるかもしれない。
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そんな中、「売ってないなら作れば良いじゃない」とばかりに、「自作」する親が出てきている。とある女児の親は、100円均一の材料で、妖怪ウォッチを手作りする様子をニコニコ動画に投稿。手作り感のある外観に「親の愛情を感じられる」と、ユーザーから高評価を集めている。
ところで、もし子どもたちが「自作」で満足すれば、「本物」の売上にも影響があるかもしれない。親が子どものために「自作」することは問題ないのだろうか。また、作り方をネットで公開するのはどうか。商標権や著作権にくわしい岩原義則弁護士に聞いた。
「親が自分の子どものために、手製の『妖怪ウォッチ』を作ってあげること、それ自体に、問題はありません。
しかし、その完成品や作成の手順をネットで公開することは、厳密にいえば法的に問題がある場合が多いといえます」
どんな問題となるのだろうか?
「まず、『妖怪ウォッチ』は『商標登録』がされている商品名です。
商標とは、誰がそれを製造・販売したかを示す商品名やマークのことです。妖怪ウォッチの場合、福岡県の株式会社レベルファイブがおもちゃや時計など多くの区分で、『商標登録』をしています。
したがって、自作のおもちゃを『妖怪ウォッチ』と呼べば、商標権侵害とされる可能性があります」
「また、ネットで公開されている『自作』の手順をみると、ネットから『妖怪ウォッチのキャラクターのイラスト』を取ってきて、それを印刷し、利用している例があります。
他人が描いたイラスト(著作物)を勝手に複製すると、基本的に著作権侵害になります。自分の子どものためにプリントすることは、『私的使用』としてギリギリセーフですが、せいぜいそれが限度です。ネットで公開する(公衆配信する)と、イラストの著作権侵害となり得ます」
ということは、「妖怪ウォッチを作ってみた」として、無防備に制作動画を公開すると、問題視される可能性もありそうだ。
「安全策でいえば、『妖怪ウォッチ』という言葉を使わず、『イラスト』も載せないことですが・・・」
しかし、それだと、何のためにあるのかわからない動画になりそうだ。結局のところ、親の愛情あふれる「手作り品」は、家庭内使用にとどめるのが法的には無難だといえそうだ。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
岩原 義則(いわはら・よしのり)弁護士
弁護士・弁理士。大阪弁護士会・知的財産委員会副委員長
事務所名:サニー・サイド法律事務所
事務所URL:http://sunnyside-law.com/