いよいよ最終戦を迎えたベライゾン・インディカー・シリーズ。29日にカリフォルニア州フォンタナのオート・クラブ・スピードウェイで行われた予選は、ポイントリーダーのウィル・パワー(チーム・ペンスキー)が予選21位と出遅れるなか、逆転で王者獲得を目指すエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)はトップスピードをマークしポールポジションを獲得した。佐藤琢磨(AJフォイト)は、2列目スタートとなる予選4位を獲得した。
今年も最終戦までもつれ込んでいるインディーカーのチャンピオン争い。
今日、カリフォルニア州フォンタナの2マイルオーバルで予選が行われ、ポイント2位のエリオ・カストロネベスがポールポジションを獲得し、初タイトルへの意欲を見せた。
22台がエントリー。1台ずつが2周のアタックを行なう予選は午後2時15分、摂氏36度という猛暑の中で始まった。
最初のアタッカー、ルーキーのミカイル・アレシン(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)が216.726mphという素晴らしい数字 を達成。しかし、次にコース・インしたファン・パブロ・モントーヤ(チーム・ペンスキー)が217.621mphで早々にトップの座を奪った。
しかし、ここから彼らふたりを上回る者が出るのには長い時間がかかった。朝のプラクティスで221mph台をマークしてトップだったウィル・パワー(チーム・ペンスキー)は、当然ポールポジション候補だったが、彼は1ラップ目にマシンを大きく滑らせ、2ラップ平均が212.604mph止まり! 彼より遅かったのはルーキーでオーバル走行に苦労して いるカルロス・ヒュータス(デイル・コイン・レーシング)のみ。明日のレースを彼は21番グリッドからスタートしなくてはならない。
13人目のアタッカー、トニー・カナーン(チップ・ガナッシ)が216.857mphをマーク。ロシア人ルーキーを3番手へと押しやる2番手に食い込んだ。そのカナーンを上回ったのはジョセフ・ニューガーデン(サラ・フィッシャー・ハートマン・レーシング)。217.600mphを出してみせた。 しかも、彼は2ラップ目に218mph台をマークしていた。多くのドライバーたちが2ラップ目にスピードダウンをしている中でのことだった。水曜日のテスト、今朝のプラクティスともに目立たない存在だったニューガーデンだったが、予選では速いラップを実現するためのラインを発掘したのだ。
ニューガーデンの次にコース・インしたのはスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)。カナーンの走行情報も得た彼は 計測1周目に218.257mphをマーク。トップに踊り出ると見られたが、2周目が215mph台までダウン。最終的に彼の予選結果は5位となった。
最後からふたり目のアタッカーは佐藤琢磨。彼は朝のプラクティスで18番手のスピードしか出せておらず、マシンの仕上がり具合にも全く納得がいっていなかった。しかし、大幅にセッティングを変更したマシンで予選に臨み、217.323mphの2ラップ平均を達成。予選4位という望外の好結果を掴んだ。
そして、最後のアタッカーがコースイン。エリオ・カストロネベスだ。朝のプラクティスで2番手。パワーと同じく221mph台を出していた彼 は、1ラップ目に219.127mphと今日の予選での最速ラップをマーク。2周目は217mph台に落ちたが、それでも2周平均を 218.540mphと、唯一人218mph台に乗せて堂々のポールポジションを獲得した。
これでボーナスポイント1点を獲得したカストロネベスは、パワーとのポイント差を50点に縮めた。明日のレースはダブル・ポイント。ウイナー は100点を稼げる。パワーが最後尾近いグリッドからのスタートとなることからも、逆転タイトルの可能性はおおいに高まった。
「狙っていた通りの結果になった。クルーが完璧な仕事をしてくれ、我々はポールポジションを獲得した。ファンタスティックだ。今日はアタックの順番が最後だったが、それも大きなプラスだった。おかげでチームメイトからのフィードバックを受けることができたし、セッティングも少し変更し、それが効果を発揮していた。ファン・パブロとウィルに深く感謝する」
「さぁ、この勢いを保たねば。トップからのスタートだが、明日のレースは長い。 なすべき仕事は何なのか、僕たちは理解しているつもりだ。その最初のステップを我々は成功させた。明日はスタートポジションを同じフィニッシュポジションを手にしたい」とカストロネベスは語った。
対するパワーは、「もっと良い結果になっていても何の不思議もなかった。それが、考え得る最悪の結果に近いものになった。ハンドリングがオー バーステア過ぎたんだ。しかし、スタート位置はいちばん前に近いか、逆にいちばん後ろに近いかのどちらかが良いと考えていた。トラブルに巻き込まれないよ うに、という意味でだ。あとは明日のレース次第。長いレースだ。ファイナル・プラクティスで自分たちのマシンがどのラインで速いかを確認する」と 話していた。
琢磨は、「セッティングを色々変えました。走行ラインもライバルたちの走りを見て考えました。今朝の状態から考えると4位という予選結果は本当 に嬉しい。夜のファイナルプラクティスで決勝用マシンも良いものに仕上げたい」とこちらも好位置からのスタートで意気込んでいた。
(Report by Masahiko Amano / Amano e Associati)