スーパーGTをプロモートするGTアソシエイションは29日、スーパーGT第6戦の予選日を前日に控えた鈴鹿サーキットで記者会見を開き、GT300クラスに参戦するエントラント向けのGT300マザーシャシー構想の企画を発表。トヨタ86をベースとしたプロトタイプを公開した。
近年、スーパーGTでは自動車メーカー主導で開発された安価なカスタマー向けレーシングカー、FIA-GT3規定の車両が多く導入されており、多くのチームが活用しているが、一方でかつてスーパーGTで一般的だったJAF-GT300規定車両の台数が減少していた。FIA-GT3車両は車両自体はリーズナブルだが改良が許されていない車両で、チームの仕事としては完成した車両を走らせるだけに近い状態となっていた。
そんな中、GTAとしては日本のモータースポーツ業界が長年培ってきた技術力を活かし、かつ発展させ『日本のものづくり』を育てていくために、安価な専用モノコックにチームが独自に開発することができるGT300マザーシャシー構想を立ち上げ、童夢の林みのる元社長が構想していた『ISAKUプロジェクト』に使用予定だったモノコックを活用し、プロトタイプ作りが進められていた。
すでに既報のとおり、このプロジェクトはトヨタのスポーツカー『86』を採用ボディとし開発されていたが、29日、そのプロトタイプが公開された。シルバーのボディにトヨタ86を模したシルエットのCFRP製ボディをもつマシンは、現行のGT300カーとはやや一線を画した印象で、メカニカルな印象をもっている。
このシャシーに組み合わされるのは、GTAが今後販売を予定してる4.5リッター自然吸気V8エンジン。また、6速パドルシフト式ミッション、トリプルプレートクラッチ等が組み合わされ、高い安全基準も採用。また、夏場のレースに備えレーシングエアコンシステムも備えている。
今後、このプロトタイプカーをベースとして、マザーシャシーを導入するエントラントが部品を流用、購入してマシンを組み上げていくことができる。また、これらのパーツについてはGTAが販売を行い、FIA-GT3車両と同等のコストを目指していくという。GTAではマザーシャシー使用マシンに関する技術規則や競技規則を整理し、2015年からGT300クラスに参戦できるように体制を整えていく。
気になるのは、今後マザーシャシーを使用したエントラントが現れるかどうかだが、記者会見に登壇したGTA坂東正明代表は、「来季に向けて、現在マクラーレンを使って参戦しているチームが導入を検討している。ミッドシップになると思う」とコメントした。
記者会見会場には現在スーパーGTに参戦しているエントラント代表者やタイヤメーカー、自動車メーカー等、多くの関係者が訪れ、その数はメディア以上。高い関心を伺わせていた。