NPO法人労働相談センターが運営する「レイバーネット」に、職場のいじめに関する相談メールの概要が掲載されている。労働相談センターと東京東部労働組合に労働者から寄せられた相談が35件まとめられている。
いずれもかなりひどい内容のものだが、これでも今年6月の1か月間に寄せられたものだけに限っているらしい。カオス(混沌)と呼べるほど劣悪な環境に置かれた労働者がいかに少なくないか、垣間見られる資料となっている。
「暴力でたんこぶ」「給料より高い罰金」のケースも
まず目につくのは、横暴な社長が社員をいじめるケースだ。おそらく中小・零細のオーナー企業なのだろうが、中には暴行傷害と見られるものもある。早く会社を辞めて、警察に通報すべきと思われてならない。
「社長から数え切れないほど暴力を振るわれている。仕事のミスを理由に足を蹴られたり頭を壁にガンガンと叩きつけてきたり、みぞおちを殴ってくる。足の皮はむけ、頭はたんこぶができる。恐怖心でビクビクし、嘔吐し、ついに精神科に通院するようになった」
何か事があるごとに、社長から「罰金と称して1回数十万円を没収される」という人もいた。給料より高い金額を請求され、「何のために仕事をしているのか分からない」という。これが事実であれば、労働基準監督署に通報すればすぐに指導が入るはずだ。
「(社長が)朝から職場内に据えた監視カメラを見たり、パソコンで社員のあら探し。ゴミは社員が持ち帰る。何百枚もの不正伝票を作成させられる。まるで奴隷のようだ」
など、不正に従事させられる人もいた。業務と称して社員の良心に反する違法行為を強要することも一種のパワハラといえる。どのような不正かは分からないが、事業者の法令違反を内部告発した労働者は公益通報者保護法で守られるので、監督官庁に通報すべきだ。
下品なボス的上司が「あんな顔で勃たねー」
ある福祉施設では、ボス的男性上司の女性職員に対するパワハラとセクハラがひどすぎるという。特にセクハラについては、
「○○ちゃんは生理だから機嫌が悪い」
「あんな顔で勃たねー」
などと言うようだ。職場の人員配置バランスが悪いために、こうしたボス的存在をけん制する体制になっていないのだろう。新入社員が「やっぱりブラックな職場に当たる確率の低い大企業に入りたい」と考えるのも仕方がない。
ハラスメントは男性だけでなく、女性上司によるものもある。ある女性パートタイマーは、新たに赴任した女性の新上司から「ゴキブリ」と呼ばれていると憤る。
「『ゴキブリがこの商品を持ってきたけど、どれにする?』などと言ったり、ゴキブリのイラストを書いた紙を渡してくる。耐えきれずに退職した。泣き寝入りするしかないのか。悔しい」
これはどんな言い訳をしようともアウトだ。職場の上司や同僚は、なぜ注意をしないのだろうか。なお、女性の人権問題に関しては、法務省がホットラインを設けており、法務局職員や人権擁護委員が話を聞いてくれる。
ある相談者は、匿名のお客さんからアンケートで悪口をかかれ、会社から一方的に「始末書」の提出を命じられ、仕事も奪われたと嘆く。
「お客さんを優遇するのも大事ですが、私たち職員の人権や権利はないのですか」
このようなケースの場合、実はアンケート内容は会社や同僚が嫌がらせで書いたものだった、ということもあるようだ。明らかにおかしいと思ったら、悩んでメンタルヘルス不全になる前に弁護士に相談するという手段もある。
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