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SCか、赤旗か。強雨のスーパーフォーミュラ第4戦もてぎのレース進行に意見あり

2014年08月26日 14:10  AUTOSPORT web

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強い雨の中を走行するジョアオ-パオロ・デ・オリベイラ(LENOVO TEAM IMPUL)
24日に決勝レースが行われた全日本選手権スーパーフォーミュラ第4戦ツインリンクもてぎで、レース終盤に降り出した大雨の後のレース進行に対し、レース後の記者会見で赤旗を出し中止すべきだったのではないかという意見も出たのでご紹介しよう。

「なんだこれは!」

 ジョアオ-パオロ・デ・オリベイラ(LENOVO TEAM IMPUL)が大きなリードを保ち、終盤を迎えていたスーパーフォーミュラ第4戦もてぎの決勝レースの40周目。サーキット実況を務めるピエール北川アナウンサーが驚きの声を上げた。それまでもポツポツと弱い雨が舞ってはいたものの、コース後半のダウンヒルストレート後半から90度コーナー、メインストレート等セクター1方面に至るまで、まるで東南アジアのスコールのように突然大粒の雨が降り出したのだ。

 ピットではチームクルーが大慌てでレインタイヤを担ぎ出し、ピットインの準備を行う。幸いにも、先頭のオリベイラはちょうどダウンヒルストレートに差しかかるところで「ビッグシャワーだ! ピットに入れ」という無線を受けていたため、90度コーナーでコースアウトこそ喫するものの、無事にピットに帰り着く。

 その後も多くのマシンが同様にピットに戻りレインタイヤに即座に交換。ステイアウトを選択した中嶋大祐(NAKAJIMA RACING)以外の全車がピットに入ったため、チームの作業待ちでタイムロスを喫するマシンも多かったが、先頭集団に順位変動の波乱はなかった。

 ただ、問題はその後だ。ウエットタイヤに交換しながらも、コースアウトするマシンが増え続ける。コース上にはいたるところに川ができ、傍目に見ていても分かるくらいフォーミュラカーでは危険な雨量になっていく。やがて46周目、セーフティカーが導入され、SC先導のままチェッカーを受けた。

 この46周目のセーフティカー導入まで数周の間があったが、この状況について、2位に入った石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)はレース後の記者会見でこう語った。

「SC導入という判断は良かったと思いますが、ドライのセットアップに単純にレインタイヤを付けると、車高が下がるんです。ドライでも攻めた車高でみんな走っている状況で、そのままレインをつけると下を打ちまくってしまい、水に乗ってしまう。SCが入る前の2周は、5速までにしか入らなかったんです。クルマが浮いてしまい、まともに走れる状況ではなかった」と石浦。

「再開するべきではないな……とは思いましたが、再開に備えてタイヤやブレーキを温めました。でも、あの状況では車間も詰まっているし、視界も悪い中でレースを再開するのは危険でした」

 また、優勝したオリベイラも「石浦が言うとおり、ドライセットで出ていて、こうしてコンディションが変わる時は難しいんだ。このような強い雨の状況で、誰も大きなアクシデントを起こさなかったのはラッキーだったと思う。このシリーズにはプロフェッショナルなドライバーが揃っているから良かったけど、できれば赤旗を出して安全を確保した方がいいと思う」

 また、ピットレーンでレースを見守っていた星野一義監督も「もっと早く赤旗を出すべきだった。僕はひとりで怒鳴ってたんだよ」と語った。

「最後にセーフティカーのままレース終了で、レースの盛り上がりとしてはいまひとつになるかもしれないけど、人間が乗っていて操作している訳だからね。もう少し早く対処して欲しかった。ゴルフだって、グリーンでちょっとボールが転がらなくなったら中止だよ(笑)!?」という。

「僕もすごいウエットで、難波社長(故難波靖治ニスモ社長)が『チャンスだぞ』なんて言うから、止めて欲しいのに『うん』って言ってしまったんだけど(笑)(※編注:1985年WEC in JAPAN)、それは昔の話で、向こうでは外国人ドライバーが『クレイジー』って言ったらスッと中止になるんだよね。興行の面で難しい部分はあるけど、走る人たちの意見をもっと入れて欲しい。人間が乗っているんだからね」

 こういったウエット時のレースについては、星野監督の言うとおり安全と、訪れたファンに対する興行をいかに両立させるかが非常に難しい問題だ。特にスーパーフォーミュラのようなビッグフォーミュラでは、強い雨が降ればすぐに危険な状況に陥る。今回のレースは、レース運営の難しさを感じさせるレースになったと言えるだろう。