24日に決勝レースが行われた全日本選手権スーパーフォーミュラ第4戦ツインリンクもてぎ。このレースではホンダエンジン搭載車がピットイン時に相次いでストールに見舞われた。この原因は、どうやら燃料系に起因するもののようだ。
今季、ダラーラ製のSF14シャシーとともにトヨタ、ホンダの両メーカーが2リッター直4直噴ターボエンジンを導入。シリーズ前半戦はトヨタエンジンが優位な状況だったが、今回の第4戦もてぎから後半戦仕様のエンジンとなり、ホンダエンジン搭載のドライバーも「ドライバビリティが良くなった」と高評価。予選では野尻智紀(DOCOMO DANDELION)が2番手を獲得し、山本尚貴(TEAM無限)もQ3はキャンバーシムが抜けるトラブルに見舞われたものの、Q2ではトップタイムをマークしていた。
なお、この後半戦仕様のエンジンについてホンダの佐伯昌浩HR-414E開発責任者は、「燃焼系を徹底的に見直して開発したもので、マッピングや細かい部品を変更」したものだという。決勝でも序盤、野尻が2位を獲得した石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)と互角のペースを披露しており、レースでの問題もなさそう。
佐伯責任者は「今回のレースでは大きな手応えを得られました」とレース後語った。今後、ホンダ勢のシャシーセットアップが進めばトヨタ勢に打ち勝つ可能性も十分感じさせたほか、トヨタの永井洋治プロジェクトリーダーも「我々もいろいろスペックを上げてきましたが、ホンダさんの上がり代の方が大きかった。今後頑張らないと」と語った。
そんなホンダエンジン勢だが、レースペースでの期待と裏腹に、今回のレースでは3番手を走っていた野尻をはじめ、2ストップ作戦を採っていた山本、タイヤ交換を遅らせる戦略を採っていた中嶋大祐(NAKAJIMA RACING)らがピットイン時にエンジンストールに見舞われた。今季、スーパーフォーミュラではハンドクラッチが採用されており、このクラッチの扱いの難しさから富士ではトヨタ、ホンダ問わずストールするマシンが見られたが、今回はホンダ勢のみ。いったいどんな原因があったのだろうか。
これについて、ストールに見舞われたドライバーたちに話を聞くと、クラッチの問題ではなくどうやら燃料タンク内に何か問題があった様子で、「まだ原因は詳しくは分からない」とした上で、燃料タンク内の温度の問題だったと語った。
「まだ原因は分からないですけど、クラッチよりもエンジンが勝手に止まってしまうような状況でした。ある状況が重なると止まってしまう感じです」と言うのは野尻。
「僕は今までも何度かストールさせているので、今回もストールさせないようにアクセルも吹かし目でいたんですが、それでも急に回転が落ちてしまった。ドライバー側ではやりようがないくらいだったので、次に向けてしっかり対策したいと思います」
また、山本尚貴(TEAM無限)も「エンジン系とも燃料系とも言えるトラブルです。タンクの中の温度の問題だと思います。詳しくは分かりませんが……」という。
他のドライバーに聞くと、燃料タンク内にガソリン残量がある時の方がこのトラブルが起きづらく、少なめの燃料でスタートし、残量がない状態でピットインするとストールするトラブルが出るという話もあったが、山本はこれを否定した。
「そういうこともあったので、まわりに燃料を残して入ってくるチームもあったんですが、残しても発生するクルマもあったみたいなのでなんとも言えないです。2回ともやり方を変えたんですが、2回ともダメでしたね。クラッチのミートとか、やり方の問題ではないです」
関係者の中には、燃料タンク内の圧力が給油時に抜け、燃料温度が上がりパーコレーションを起こし、センサーが働きエンジンがシャットダウンされたのではないかという見方もあるが、詳細はまだ不明。佐伯責任者はストールについて「気温の上昇に原因がありました。次戦は決勝中の給油がないので心配ありませんが、早急に対策を行う予定です」と語る。
スーパーGTでも、後半戦に向け大きく戦闘力を上げてきたホンダ。スーパーフォーミュラでも、これらの細かなトラブルが発生しなくなれば、トップの座が近づいてくるのかもしれない。