求人広告には魅力的な言葉が並んでいたのに、実際に入社してみたら全然違っていた――。そういう目にあった人も多いことだろう。中には、確かにウソではないが「こんな意味だったとは」というようなケースもあるようだ。
ブラック企業の見分け方として、過剰に飾り立てられた求人広告をあげる人も。ネット掲示板のオープン2ちゃんねるには、「求人で信用できない言葉で打線組んだ」というスレッドが立てられ、求職者に警戒を呼びかけている。
長時間労働で「会社が家になるんだろ?」
並べられた「求人広告の言葉」は、代打を含めて以下の10個だ。
1中:残業月20時間/2遊:年間休日120日/3右:正社員登用制度有/4一:アットホームな職場です/5左:親切丁寧に指導します/6二:未経験者歓迎/7三:業界シェアNo.1/8捕:賞与有/9投:夢に向かって頑張りましょう/代打:必要なのはやる気と笑顔
まずはクリーンナップトリオから見ていこう。3番バッターの「正社員登用制度有」とは、契約社員を募集する際に、将来的には正社員に登用される可能性もありますよ、と誘うもの。
これの何が悪いのかと思うかもしれないが、ネットユーザーたちは口約束だけで守られた試しがなく、多くの会社は非正規で使い潰すつもりなので「決して信用してはいけない」と忠告しているわけだ。
キャリコネも8月4日に「『正社員登用あり』は詐欺求人の常套手段?」という記事を公開し、最低8年は契約社員のままで、その後も正社員になれる保証がない会社ケースを紹介した。「直近3年間の正社員化率」が実績として出ていれば信用できるのだが。
4番バッターの「アットホームな職場です」については、殺伐としているよりマシという見方もあるが、逆にいうと仕事との切り分けが不明瞭なおそれもあるということだ。長時間労働で「会社が家になるんだろ?」と揶揄する人もいる。
就業後は飲み会、休日も社内イベント。仲間意識が強く、馴染めなければ疎外感を味わう。プライベートな時間を大事にしたい人には向きそうにない。ネットには「逆に『ドライで自由な職場です』なら絶対応募するのに」「『与えられた仕事をしていればそれ以上は求めません』みたいな売り文句があってもいいと思う」という声もあった。
5番の「親切丁寧に指導します」は、6番の「未経験者歓迎」とセットで掲げられることが多い。実際には「なんでそんなこともできないんだよ!」などと怒鳴られるという。細かいところまで気を配るが、教え方が優しいとは限らない。
雇用契約を結ぶ際に「条件」を確認することが重要
8番キャッチャーは「賞与有り」。ハローワークの規定では、前年に支給実績がなければ「なし」と書かなければならないが、多くの会社では「以前出たことがある」程度でも「あり」と書く会社が横行しているようだ。
Q&AサイトのOKWaveにも、自分が在籍中には賞与が1度も出なかったのに、その会社の求人票に「賞与年2回あり」と虚偽記載があったと憤る人からの相談が載っている。
意見が別れたのは、1番バッターの「残業月20時間」だ。ある人は、なぜ20時間も残業があるのにアピールポイントになるのか理解できない、というが、他の社会人からは、
「残業20時間が多いとか社会に出たことない学生か? こんなのまともな方だぞ。多いってのは50~100時間」
と、いかに「20時間」が魅力的な条件であるかの説明があがった。それでも実際には、きとんと守られることがないというのだから寂しいものだ。
9番ピッチャーの「夢に向かって頑張りましょう」と、代打の「必要なのはやる気と笑顔」は精神論。体育会系でサービス残業を要求されがちだという。ネットでは「他に書くことないわけ?」「給与が安い職場ほど笑顔を要求する」と呆れる声があがっている。
もちろん、ここに書かれた言葉が求人広告に含まれていたからといって、その会社で働くべきではないということではない。甘い言葉に騙されず、雇用契約を締結するときには給与や手当、労働時間や休日についてきちんと確認することが重要だ。
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