“スパ・ウエザー”は今年も健在でした。FP3と予選の間に雨が降り、路面は乾いていくかと思いきや再び雨が降り、予選終了直前から晴れ……。目まぐるしく変わる天候、それがスパ・フランコルシャンの名物です。
“スパ・ウエザー”はこれまで、幾多の番狂わせとも言えるドラマを演出してきました。しかし今年の最強チームは、スパ・ウエザーに翻弄されることはなく、むしろいつもよりもその強さを増したようにすら見えました。
予選でフロントロウを独占したのは、メルセデスAMGのふたり、ニコ・ロズベルグとルイス・ハミルトンでした。ロスベルグが3番手のセバスチャン・ベッテル(レッドブル)につけた差は、なんと2秒以上。どうやっても逆転できない、圧倒的な差です。この結果を見る限り、決勝でも彼らの優位は、揺るがないでしょう。
一方、逆にスパ・ウエザーに翻弄された感があるのが、ウイリアムズの2台です。戦前は「優勝争いをする」と公言、金曜日のコメントでも「表彰台を獲れる」と自身を見せていましたが、結局予選順位はバルテリ・ボッタス6番手、フェリペ・マッサ9番手。
ウイリアムズは、今季開幕当初から、その速さが指摘されていました。しかし、開幕戦のオーストラリアGPや第2戦マレーシアGPの予選では、雨に翻弄されて本来のパフォーマンスを発揮することができず、下位グリッドに沈んでいます。その当時から、ウイリアムズのマシンはウエットコンディションを苦手にするのではないかと示唆されており、それが今も続いているということなのでしょうか? マッサもボッタスも、予選後のコメントで“雨”の影響があったことを語っています。とはいえ、結果的にレッドブルやフェラーリに先行されてしまい、勝利の可能性は遠のいてしまいました。
ただ、ウイリアムズが強力なパワーユニットと速いレースペースを持っているのも事実。セバスチャン・ベッテル、フェルナンド・アロンソ、そしてダニエル・リカルドは、ボッタスの攻撃にいかに耐え、順位を守るかというレースになるでしょう。
レッドブルとフェラーリのレースペースは同等かレッドブルが若干速い程度だと推測しています。勝負を決めるのは、おそらくタイヤ交換のタイミングなど、戦略面ということになりそうです。ただ、直近のライバルばかり見ていると、後方から0.5秒程度速いペースで迫ってくるウイリアムズに先行されてしまいます。僅差を争う、頭脳戦になるかもしれません。
Q2で敗退してしまいましたが、トロロッソ勢とフォースインディア勢にも注目したいところです。彼らも、1発のタイムでは上位10台に敵いませんでしたが、ロングランのペースはレッドブルやフェラーリ、そしてマクラーレンに匹敵します。彼らが11~13位を占めていますから、決勝がスタートすると、当然前についていくことになるでしょう。
つまり、スタートとともにメルセデスAMGの2台が逃げ、3番手から13番手までが数珠つなぎになって走るという序盤戦となりそうです。ただウイリアムズは、先行車をオーバーテイクすることができれば、その集団から抜け出すことができるでしょう。
なお、ウイリアムズによれば、今回の燃費は1周あたり2.2kg。レースは44周で行われますから、ガス欠の心配はせずにレースを戦うことができるでしょう。
ところで、気になるのは決勝時の天候です。現地では、決勝はドライコンディションで行われると言われているようです。ただ、天気予報会社によっては、土曜日と同じような不安定な天候になるとの予報を出しているところもあります。もし、雨が降ったり止んだりということが繰り返されれば、一筋縄ではいかない、波乱の結果となることもあるかもしれません。
(F1速報)