F1参戦中のロッテラーに代わり、アンドレア・カルダレッリがトムス36号車のステアリングを握っている。 8月23日~24日と、ツインリンクもてぎでは全日本選手権スーパーフォーミュラ第4戦が開催されているが、このレースを欠場してF1ベルギーGPにケータハムから参戦しているアンドレ・ロッテラーについて、多くのドライバーや関係者が話題にしている。
今季はWEC世界耐久選手権にアウディスポーツ・チームヨーストから、スーパーフォーミュラにはPETRONAS TEAM TOM'Sから参戦しているアンドレ・ロッテラー。スーパーフォーミュラでは第2戦富士のレース2で優勝するなど全戦でポイントを重ね、チームメイトの中嶋一貴に次ぐランキング2位につけている。
しかし、タイトル争いにとって重要なラウンドとなる第4戦もてぎを欠場し、ロッテラーはF1参戦のチャンスを選んだ。代役としてアンドレア・カルダレッリが36号車のステアリングを握り、予選では最終的に6番手グリッドを獲得している。
当然ながら、今回のロッテラーの欠場はもてぎでも大きな話題となっており、予選後にはベルギーGPのFP3のリザルトを気にするドライバーやチームスタッフがそこかしこで見られた。また、記者会見等でも話題に上っている。
WECではアウディの僚友であり、スーパーフォーミュラではロッテラーの良きライバルと言えるロイック・デュバル(KYGNUS SUNOCO)は、予選後の記者会見でロッテラーのF1参戦について語った。
「もちろん、この話が来た時にアンドレから話はあったよ。僕からアドバイスすることはもちろんなかったけど、世界中のレーシングドライバーはこの世界で戦っていたら一度はF1で走りたいと思うはずだ。アンドレも小さな時からそういう夢を持っていたし、今回チャンスがあったことは彼にとって素晴らしいことだと思う」とデュバル。
「今週末、マシンを考えると上位の結果は残せないかもしれないけど、頑張っていい結果を出して欲しいと思う。スーパーフォーミュラを代表してその存在を示してほしいよ」
「ただ僕たちにとっては、アンドレがここにいないことはポイントを考えるとラッキーだけどね(笑)。また次戦スーパーフォーミュラに戻ってくると思うけど、こっちの方が楽しいと思うんじゃないかな(笑)?」
他のドライバーの多くも、デュバル同様に「スーパーフォーミュラを代表してがんばって欲しい」という意見が多かった。今回、時間がない中でロッテラーがその存在感をF1で示せば、かつて多くのF1ドライバーが示したように、そのスキルを鍛え上げた日本のトップフォーミュラの存在が際立つはずだ。
また、スーパーフォーミュラを運営する日本レースプロモーションの白井裕社長は、シリーズの主役のひとりが欠場することは痛手であるとしながらも、かつて自らもホンダの一員として携わったF1というステージに上がることは、良いことではないかと語った。
「欠場という形にはなってしまいますが、結論としてはいいことだと思っています。PETRONAS TOM'Sにとってはランキング1位~2位で、タイトル争いを考えると大きなことでしたが、かつてフェルナンド・アロンソがミナルディで存在を示したとおり、ケータハムとは言えF1に出て存在感を示せば、多くの人が見る。そして我々のレースの価値を見てくれると思う」と語る。
「スーパーフォーミュラとしては、単純にステップアップカテゴリーとしてGP2やワールドシリーズ・バイ・ルノーのようにはならず、アジア最高のフォーミュラとして地位を築きたいと思っている。ただ、ロッテラーが戻ってくれば、他のSFドライバーはロッテラーを凌いでF1に行ってほしいと思う」
スーパーフォーミュラでは今季から、ビタントニオ・リウッツィが参戦するなど、ジェームス・ロシターやナレイン・カーティケヤン、中嶋一貴等、元F1ドライバー、F1テストドライバーの参戦が増えており、国際的な評価も高まっている。参戦する日本人ドライバーにとっては、ロッテラーをはじめとした強力な外国人ドライバーに打ち勝ってこそ、F1への道が示されるはずだ。