4週間弱の夏休みを経て、ベルギーGPが開幕いたしました。ベルギーGPの舞台、サーキット・デ・スパ・フランコルシャンは、現在F1を開催するサーキットの中でも、最も長い距離を誇ります。しかも、アクセル全開区間が多く、近年では“超高速”サーキットのひとつに数えられています。
ということは、ここでは最高速が伸びるマシンの方が有利。今季猛威を振るっている、メルセデス製パワーユニット搭載マシンが、上位を占める可能性が高いと思われます。
初日のフリー走行2回目でのペースを見ても、やはり最速であろうと思われるのは、メルセデスAMGの2台、ニコ・ロズベルグとルイス・ハミルトンでした。ロズベルグは17周、ハミルトンは16周の連続走行をソフトタイヤを履いて行いましたが、ともに1分54秒代から1分55秒台前半という非常に良いペースで走りました。まぁ、メルセデスAMGが速いのは今回に限ったことではありませんが……。
とはいえ、今回ばかりは手強そうな相手がいます。直線スピードと言えば今年はこのチーム。そう、ウイリアムズです。ウイリアムズはフェリペ・マッサにソフト、バルテリ・ボッタスにミディアムを履かせてロングランを行いましたが、特にマッサのロングランは、メルセデスAMGに匹敵するものでした。ボッタスのミディアムでのペースは、マッサの約1秒落ちというところ(ピレリの発表では、ソフトとミディアムの差は1周あたり1.8~2秒)。メルセデスAMGのミディアムのペースが不明なので何とも言えませんが、ウイリアムズはかなりの自信を持っている様子。「表彰台も狙える」と息巻いています。
メルセデスAMGの1-2フィニッシュ濃厚ではありますが、ウイリアムズがこれをどこまで苦しめることができるか? これが今回最大の注目ポイントと言えるでしょう。
フェラーリはフェルナンド・アロンソがベストタイム3番手を記録しましたが、ロングランは距離が短かった上、そのペースもメルセデスAMGやウイリアムズの約1秒落ち。フェラーリの真のパフォーマンスは不明な部分も多いですが、表彰台争いに加わるのは難しそうといった印象です。ベルギーを得意としているはずのキミ・ライコネンも一発の速さを見せることも、ロングランを行うこともできず……苦戦の可能性が非常に高そうです。
前戦ハンガリーGPを制したレッドブルも、今回は苦戦しそうです。セバスチャン・ベッテルはエンジン交換によりフリー走行2回目をまったく走れず。ダニエル・リカルドは8番手タイムを記録しましたが、ロングランを見るとデグラデーション(タイヤの劣化によるペースへの影響)が大きい印象です。ハンガリーはダウンフォースが必要とされる低速サーキットであり、今回とはその特性が大きく異なります。レッドブルにとって、パワーが必要とされるスパは、おそらく最も苦手とするコースのはず。上位争いに加わるのは、やはり難しいでしょう。
フェラーリ、レッドブルを苦しめそうなのが、トロロッソ、フォースインディア、マクラーレンといったところです。この3チームは、メルセデスAMGやウイリアムズにはレースペースで1秒程度およびませんが、デグラデーションは少なく、非常に安定したペースで周回を重ねることができそうです。ピレリの発表によれば、今回の決勝では2ストップ戦略が主流になるとのこと。戦略が非常に重要な入賞争いが、この5チームで繰り広げられるということになりそうです。場合によっては、ロータスもこれに加わってくるかもしれません。
ドライコンディションならば、以上のような勢力図となるでしょう。しかし予選も決勝も、天候は不安定という予報が出ています。まさにこのサーキットの代名詞“スパ・ウエザー”が、結果を大きく左右することになりそうです。まずは本日行われる予選にご注目、と申し上げておきましょう。
(F1速報)