2014年08月22日 18:11 弁護士ドットコム
性風俗やポルノへの課税を検討すべき――。あるブロガーのそんな意見が7月末に投稿され、注目を集めた。巨大産業である性風俗・ポルノ業界から税金を徴収し、その分をシングルマザーの支援や、少子化対策に充てようというのだ。
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ネット上では、「これはアリだ」と肯定する意見もあるが、本当に効果があるのか、疑問視する声もあった。賛否両論の「風俗ポルノ税」をどう見るのか、風俗業界の税務問題にくわしい松本崇宏税理士に聞いた。
「風俗・ポルノ産業に従事する人たちからは、特定の産業だけへの課税であるとして、間違いなく、批判の声が上がるでしょう。業界への締め付けととらえる人も多いと思います。
風俗・ポルノ産業は、残念ながら、税金の無申告が多いのが現状です。そこに新しい税金をかけて反発を招いたりすれば、これまで以上に適正な申告をする人が減り、裏にもぐる人が増える懸念もあります。
いくら風俗やポルノ関係に税金をかけたとしても、最終的に納税されなければ、全く意味がありません。風俗ポルノ税の導入を検討する前に、風俗・ポルノ産業全体で『適正納税』を高めるべきでしょう」
なぜ、納税されないのだろうか?
「風俗・ポルノ産業は、ほかの業界に比べて、営業の許可や届出制度がゆるい側面があります。
たとえば、建設業であれば、許可の更新の際、納税証明書の提出が求められます。納税証明書の提出がなければ、許可の更新は認められません。許可が取り消されることすらあります。
一方で、風俗営業は、いったんOKが出たら、変更事項がない限り、更新などの手続は存在しません。納税証明書の提出も必要ありません」
すると、納税を促すためには、どうすればいい?
「風俗・ポルノ産業でも、まずは、建設業のような許可制度を導入するべきではないでしょうか。
そして更新時に、納税証明書の提出や、確定申告書の控えの提出を求めれば、無申告や納税漏れが減るでしょう。
結果として、適正納税につながり、大幅に税収が増えると思われます」
松本税理士はこのように話していた。
【取材協力税理士】
松本崇宏(まつもと・たかひろ)税理士
東京都葛飾区出身。明海大学卒業。税理士事務所、法律特許事務所の勤務を経て、2004年11月税理士試験合格、松本税務会計事務所開業。「デリヘルはなぜ儲かるのか」(小学館文庫)の出版を機に日本で唯一、風俗業種に特化した税理士事務所に。東京税理士会所属。
事務所名:松本税務会計事務所
事務所URL:http://www.deri-tax.com/
(税理士ドットコムトピックス)