米ウォールストリートジャーナルのブログサイト「ジャパンリアルタイム」は8月19日、「日本人は仕事に不満を持っている人が多いことが調査で判明(Survey Finds More Job Dissatisfaction in Japan)」という記事を掲載した。
筆者はJun Hongo(本郷淳)氏。文中には「Japan's Unhappy Workers」と題された大きな棒グラフが掲載され、「日本の労働者は不幸」と強調するつくりになっている。しかし中身を見ると、どうも調査結果を正しく伝えないミスリードと思えてならない。
「非常に不満」はたった7%。世界との差も3ポイント
この記事は、ビジネスパーソン向けSNSのリンクトインが世界26か国、1万8000人以上の就業者を対象とした調査結果を元にしたもの。ウォールストリートジャーナル日本語版には 「日本人は世界で最も仕事に『不満』」という見出しで掲載され、さらに毎日新聞が「<仕事のやりがい>日本が世界最下位に」と報じて日本のネットユーザーに広まった。ツイッターには、
「サンプル人数こそ少ないが、深刻だな。控え目とかじゃなく、ミスマッチとか残業とか給料とか、色々問題しかないもん。日本社会」
と、日本人が自分の仕事にやりがいを抱けない背景には、日本の雇用・労働環境に問題があると指摘する読者もいる。
ただし、調査結果の中身をみると、「日本の労働者は不幸」というメッセージは正確ではないことが分かる。確かに、現在の自分の仕事に「非常に不満」だと回答した割合は、日本人が7%と最多だが、世界の平均は4%で、その差は3ポイントに過ぎない。
一方で、日本人で圧倒的に多かったのは「やや満足(Somewhat satisfied)」と回答した人で、棒グラフを見る限り48%前後を占めていると見られる。そしてこの数値は、グローバル平均の45%を上回っている。
やりがい感じる人「77%で最下位」は不幸なのか
また、毎日新聞の報道によると、「現職にやりがいを感じているか」という問いに「同意する」と答えた日本人は77%で最下位だったというが、4分の3を越える人たちが「やりがいがある」のであれば十分ではないか。
ちなみに「やりがい」で上位になった国は、1位のインドが95%をはじめとして、マレーシアが94%、インドネシア92%と、ドイツの93%を例外として新興国が多くを占めている。ネットにも、
「全世界 満足しすぎワラタw」
「むしろ(日本でも)77%もあることが驚きだわ」
といった声があがっている。国の成長性や、転職志向の高い人が利用するリンクトインというSNSの特性も影響していると見られる。「日本の労働者は不幸」というのは、調査結果に基づく公平な分析とはいえないのではないか。
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