東京商工リサーチが8月12日、14年3月期の国内銀行102行の平均年間給与をまとめた。各社が発表している有価証券報告書などを元に金額をまとめたもので、嘱託や臨時従業員は含まれない。
102行の平均年間給与は609万7000円で、前年より0.2%増加した。給与額のトップは三井住友銀行で831万8000円。以下、東京スター銀行(810万5000円)、三菱東京UFJ銀行(798万6000円)と続く。
「辞めなければ年収がついてくる」
外資系の東京スター銀行は、中途社員が年収を引き上げていると見られるが、日系メガバンクは新卒を毎年100人以上も採用しながら高い水準を維持している。4大メガバンクで最も低いみずほ銀行でも725万8000円と、102行の平均よりはるかに高い。
それだけ行内に高給取りが多いということだろう。国税庁の2012年「民間給与実態統計調査」によると、サラリーマンの平均年収は408万円。銀行員は200万円多く貰っていることになる。
ただしキャリコネの口コミを見てみると、若いうちから多額の給与を得ているわけではなさそうだ。三井住友銀行の営業職で働く20代前半の男性は、年収が437万円にとどまっていると明かす。
「基本給があまりにも低くそれが不満であったが、年功序列的な賃金体系なので、若手のうちを耐え抜けば将来の収入には大いに期待できる」
三菱東京UFJ銀行の営業職で働く30代前半の男性は、年収600万円。「とにかく年齢がものを言い、年功序列」であることに不満があるが、
「裏を返せば、辞めなければある程度の年収がついてくる」
と、将来に大きな期待を託している。
実際の平均勤続年数は「13~15年」
40代以上になると、年収1000万円に手が届く人が多くなる。
・三菱東京UFJ銀行・43歳男性・年収1150万円
・三井住友銀行・47歳男性・年収1292万円
とはいえ、時が過ぎるのを待っていれば、自然と出世していけるご時世ではない。三菱東京UFJ銀行で働く50代後半男性(年収1000万円)は、
「三菱はいったん×をつけられると一生リカバリーできません。とにかく、振り落とす人事です」
と明かしている。三井住友銀行で働く20代前半の男性(年収500万円)も、年を重ねるにつれ次第に競争が激しくなり、「私の同期でも、入社して3年ほどでだいぶ数が減ったように思います」というから、選別は厳しいようだ。
有価証券報告書によると平均勤続年数は、三井住友銀行が約13年、三菱東京UFJ銀行が約15年。終身雇用の恩恵を受けるためには、定年まで勤め上げることが必要だが、それまで居続けることは簡単ではない。
出向で年収は半分。「生涯賃金は高くない」
ある程度の年齢になると、関連会社などへの「出向」も待っている。
「50歳までには、ほぼ確実に出向・転籍になります。そうなると年収は半分ですね。全体として銀行の報酬水準は以前より落ちていると思います」(三井住友銀行・50代前半・年収1400万円)
なお、平均年間給与には、基本的に出向者は含まれない。
三菱東京UFJ銀行で働く20代前半の男性(年収311万円)も、「20代の給与が低く、50前後でほぼ出向になり給与がガクンと下がるので、生涯賃金は他の企業と比較して高くない」と諦め顔だ。
「銀行は終身雇用で年功序列」「ピーク時には年収1000万超え」というスローガンは魅力だが、もしかするとここには、行員たちに夢を見させる絶妙なカラクリがあるのかもしれない。
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