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甲子園名物「ブラスバンド」の応援――演奏曲の「著作権」は問題にならないのか?

2014年08月21日 12:31  弁護士ドットコム

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阪神甲子園球場で開かれ、連日盛り上がりを見せている全国高校野球選手権大会。今年も高校球児達のはつらつとしたプレーに日本列島が沸いている。


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その熱闘を一層盛り上げるのが、応援ブラスバンドの存在だ。応援団が吹き鳴らすトランペットやホルンの演奏を楽しみにしているファンもいるだろう。『狙いうち』のような定番から、大ヒット映画『アナと雪の女王』の主題歌まで、さまざまな曲が演奏されている。



ただ、こうしたファンの中には「曲の著作権」を気にする人もいるようだ。ツイッターでも、「甲子園のブラバンは著作権使用料を払ってんのかな?」「さすがに甲子園の演奏は問題にならないのかな」などとつぶやいている人がいた。甲子園のブラスバンドで音楽を演奏するためには、著作権者の許可が必要なのだろうか。著作権に詳しい小野智彦弁護士に聞いた。



●「自由に演奏」できるケースもある


「実は、私も高校生時代、ブラスバンドに所属していて、母校の応援にかりだされては、当時の流行歌を演奏したものです」



小野弁護士は、自らの高校時代を、こう振り返る。演奏は、著作権的には問題ないのだろうか?



「たしかに流行曲は、みなさんご承知のとおり、『著作権』で保護されていますので、勝手に利用することはできません。



しかし、実は著作権で保護されている楽曲でも、『自由に演奏』できる場合が、いくつかあるんですね」



今回は、自由に演奏できる場合にあたるのだろうか?



「著作権法には、『営利を目的としない上演等』(著作権法38条1項)にあたるなら、自由に演奏ができるというルールがあります。



これは、次の3つの条件を満たす場合には、聴衆の前で公然と演奏しても、著作権侵害にあたらないというルールです。



(1)営利を目的としていない


(2)聴衆から料金を受け取らない


(3)演奏について報酬が支払われない」



●「3つの条件」に当てはめてみると・・・


今回のケースは、3つの条件を満たしているのだろうか?



「まず、高校野球の応援団が甲子園で演奏することは、(1)営利目的でないことは明らかです。



また、(2)応援団が、観客から『演奏』に関して、料金を受けとっているわけではありません。



さらに、(3)吹奏楽部員に対して、演奏の報酬が支払われているということもないでしょう。



したがって、3つの条件を満たしますね」



●「改変」するとダメなケースも


そうすると、「問題なく演奏できる」という結論になりそうだが・・・。



「そうですね。ただし、1つ注意点があります。それは、応援で流行曲を利用する場合、実際に演奏するのは『ブラスバンド用に編曲された曲』だということです。



たとえ、非営利目的の演奏でも、他人の曲を勝手に編曲して演奏すると、同一性保持権の観点で問題となることがあるのですね。



だから、通常は『ブラスバンド用に編曲された楽譜』を購入して、それを演奏することになると思います。私も高校時代、そうした楽譜を購入したことを覚えています」



小野弁護士はこのように述べていた。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
小野 智彦(おの・ともひこ)弁護士
浜松市出身。1999年4月、弁護士登録。オフィスは銀座一丁目。手品、フルート演奏、手相鑑定、カメラ等と多趣味。手品の種明し訴訟原告代理人、ギミックコイン刑事裁判弁護人、雷句誠氏が漫画原稿の美術的価値を求めて小学館を提訴した事件などの代理人を務めた。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。
事務所名:銀座ウィザード法律事務所
事務所URL:http://homepage2.nifty.com/tomo-ono/lawyer