2014年08月19日 19:11 弁護士ドットコム
海水浴は夏のレジャーの代表格。海水のつめたさ、磯のかおり、焼けた砂の熱さを満喫するために、大勢の親子連れや若者が、海水浴場を訪れる。だが、それだけ多くの人が集まると、なかにはマナーの悪い人も混じっているようだ。
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神戸新聞によると、神戸・須磨海岸では、一部の海水浴客が、海に入ったそのままのかっこうで、近くの商店街を歩きまわっているという。なかには、ぬれた水着で店内に入って床を濡らしたり、トイレで着替えて砂をまき散らしたりする人もいるようだ。
ある酒店は、「水着・砂まみれ・水びたし お断りします」という札を玄関先に掲げているという。また、「(トイレでの着替えを)発見したら、直ちにお帰りいただきます」と張り出した店もあるそうだが、素直に聞く客ばかりではないようだ。もしこうした断り書きを客が無視したら、店はその客を追い出しても良いものなのだろうか。神戸市内に法律事務所を構える平野謙弁護士に聞いた。
「たとえば、店の入口に『水着での入店はお断りします』と書いておいて、水着の人の入店を断ることは可能です。
こうした張り紙があるにもかかわらず、それでも水着で入って来る客がいた場合、店側の対処は『水着での入店はお断りしております。お帰り下さい』と伝えることです。それで客が帰れば問題ありません。
しかし、それでも客が帰らなければ、その行為は不退去罪(刑法130条後段)にあたります。警察に110番通報して、対処してもらうことができるでしょう」
もう少し、穏やかに解決する方法はないだろうか。
「『水着でご来店のお客様には、販売できません』という手も、店側にはあります。
誰とどんな契約をするかは原則的に自由である、というルール(契約自由の原則)がありますので、水着姿の客に商品を売らなかったことが、不法行為や犯罪にはならないでしょう」
そうすると、店側は法的に何の問題もなく、そうした迷惑客の入店を拒否したり、商品を販売しないことができるようだ。
平野弁護士は「そうした対応をとることで、『あの店はサービスが悪い』『客に対して失礼だ』などと言いふらされる可能性もありますが、逆にしっかりした店だとして評判が良くなるかもしれません」と話していた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
平野 謙(ひらの・けん)弁護士
生まれも育ちも神戸。事務所の場所は神戸市中央区多聞通。ホームページで無料メール相談も行っている。「困ったことがあれば、お気軽にご相談ください」。
事務所名:平野法律事務所
事務所URL:http://www.hirano-law.jp/