2014年08月19日 11:21 弁護士ドットコム
誰もが汗ばみ、汗臭くなる季節・・・。ネットのあるコミュニティサイトは、同僚の「体臭」にどう対処すべきかという話題で盛り上がっている。
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体質的なものなら「仕方ない」と割り切るべきだろうが、「同僚が歯を磨かない」「風呂に入らない」「衣類がにおう」といったケースだと、努力しだいでマシになる可能性もあるだけに、「改善してほしい」「ホント迷惑!」と思う人が少なくないようだ。
しかし、そうした要望はなかなかストレートに伝えにくいもの。サイトに寄せられたコメントも、「職場の人が相手だと言いにくい」「なんかアイデアないかな。傷つけずに解決してもらう方法」といった意見が並んでいる。
別のサイトでは、他人の体臭について言及することが「女同士でもパワハラ、セクハラになるんですかね・・・怖くて言えません」と懸念する声もあった。他人の「におい」について注意することが、パワハラやセクハラにあたる可能性はあるのだろうか。もし何か言いたい場合は、どんな点に気をつければいいのだろうか。白川秀之弁護士に聞いた。
「職場内で、体臭について指摘をすることが、なんでも即座にパワハラやセクハラになるとは思いません。しかし、指摘の態様によっては、パワハラになり得るでしょう」
白川弁護士はこのように指摘する。たとえば、どんな場合ならパワハラになるのだろうか?
「たとえば、同僚がたくさんいる衆人環視の場で指摘をしたり、必要もないのに毎日のように長時間にわたり指摘をしたりとすると、パワハラになりうると思います。
また、実際に体臭がないにもかかわらず、体臭があると指摘すれば、虚偽の事実で人格や尊厳を侵害することになりますので、パワハラや、状況によっては名誉毀損の問題になりうると思います。
また、体臭と性別を絡めての言動の場合、たとえば『女のくせに体臭がきつい』といった言動は、セクハラになりうると思います」
指摘するとしても、言い方や状況には要注意ということだろう。
「体臭がする原因は様々です。本人にはどうしようもない事情によって体臭がする場合もありますので、指摘をするのであれば、人格や尊厳に配慮して、他人の目のないところで指摘するとか、言い方を工夫して慎重に行う必要があると思います」
白川弁護士はこのように、注意を促していた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
白川 秀之(しらかわ・ひでゆき)弁護士
2004年弁護士登録。労働事件が専門だが、一般民事事件も幅広く扱っている。日本労働弁護団常任幹事、東海労働弁護団事務局次長、愛知県弁護士会刑事弁護委員会委員。
事務所名:弁護士法人名古屋北法律事務所
事務所URL:http://www.kita-houritsu.com/