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シリア邦人男性拘束事件-ネットでは炎上気分で悪のりする人も

2014年08月18日 21:01  おたくま経済新聞

おたくま経済新聞

シリア邦人男性拘束事件-ネットでは炎上気分で悪のりする人も

 シリア北部アレッポで、日本人の「ユカワハルナ」と名乗る男性が、過激派「イスラム国」と見られる組織に拘束された可能性がある問題で、17日から日本国内のインターネット上でも騒動が起きている。


 この騒動は17日、事件の第1報がニュースで報道され明るみになり、それと同時に、男性の尋問の様子を撮した動画がYouTubeで公開されていた事に始まる。


【元の記事はこちら】


■職業を伏せた湯川氏


 動画では、横たわる日本人男性に刃物のようなものをつきつけた何者かが、名前や職業を質問する場面が映っている。質問に対し、男性は「ハルナユカワ」と名乗り、「カメラマン(ジャーナリストとも言っている)で医者」だと説明している。


 また別の動画では、気絶した状態から意識を回復しかけている男性の様子が映し出され、その後場面は変わり、犯人グループの一人が男性に何かを向け「バンバン」と言葉を発すると、男性が「バキューン」と言いながら撃たれたフリをする様子も映し出されていた。
その様子は子供がする“戦争ごっこ”にも似ているが、男性の必死な表情から察するに、犯人の気分を損ねないよう行っているように見えた。


■ブログに残されたメッセージ「多分、今までの中で一番危険かもしれない」


 この動画が日本で拡散されるや、ネット上では17日夜頃から、「ユカワハルナ」が何者かについて調べる人が出てきた。すると、「湯川遥菜」という人物で、シリアに過去複数回の渡航歴がある千葉県の男性ではないかという話が浮上。
「湯川遥菜」氏が所属する会社のHP、個人ブログ、Facebookの情報などが続々と発見・投稿され、湯川氏の職業が「カメラマン」や「医者」ではなく、民間軍事会社(PMC=PrivateMilitaryCompany)の代表を務める人物という事が分かり始めた。


 それぞれには湯川氏の写真や、過去にシリアで撮影された数多くの動画などが投稿されており、さらに7月21日のブログでは「目的地は書けない」としながらも、「何か毎月行っている気がする」とし、数日後に迫る渡航について触れ、「多分、今までの中で一番危険かもしれない」と不安も漏らしていた。


 これら状況の一致および、数々の写真に写る湯川氏と動画のユカワ氏が似ていることから、ネット上に多数痕跡がある「湯川遥菜」氏は、拘束された「ユカワハルナ」氏と同一であるという見方に至っている。


■犯人関係者にSNSで彼の正体を伝える人が……


 こうした情報を受け、一部ネットユーザーの中から、犯人グループ関係者とみられるいくつかのSNSアカウントにコンタクトを試みる者が現れた。


 ある者は湯川氏の正体が「PMCである」と伝え、ある者は「傭兵」、そしてある者は湯川氏のFacebookを伝えた。湯川氏のFacebookにはハッキリ「民間軍事会社 CEO」と書かれており、さらには過去シリアを訪問した際の写真なども多数投稿されていたため、誰が見ても彼が何者かわかるようになっていた。


 なお、直接コンタクトをした人はイタズラ気分の人もいる一方、湯川氏を助けようとした気持ちでコメントした人もいたようだった。


■謎の声明


 最初は、ネット炎上の延長線の一つとしておもしろ半分に見ている人が多いようだった。しかし、ある人物が日本時間18日朝、気になる一言をTwitter上に投稿し、その風向きは変わり始めた。


--日本人スパイのハルナ・ユカワは、ISIS軍につかまり、神の裁きを受けた


 このツイートを投稿した人物は、ISIS(イスラム国)関係者の一人と言われているが、本物かどうかは定かではないし、湯川氏の現状については正確な情報がまだ一切明らかとなっていない。
ただネットではこうした情報を受け、既に責任の追求が始まっている。中には、直接コンタクトをとった人達に対し「殺人の片棒を担ぐのか!」と非難する人もおり、事態は悪化の一途。


 そんなネットの混乱はさておき、報道によると隣国ヨルダンにある日本大使館に対策本部が設置され、現在情報収集や交渉に当たっているという。実際の現場では冷静に解決へ向け動き出している。
色々不安な気持ちもあるかもしれないが、ことは人命に関わる問題。迂闊に動くのではなく、政府の動きに全てを任せ、冷静にその成り行きを見守ってほしいものだと思う。


※画像は編集部でモザイク処理を行っています。