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インディカー第16戦ミルウォーキー:パワーが王者を手繰り寄せる大きな一勝。琢磨は厳しいレースに

2014年08月18日 10:20  AUTOSPORT web

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ポール・トゥ・ウインでライバルとのポイント差を広げたウィル・パワー
ベライゾン・インディカー・シリーズ第16戦は、1マイルオーバルで開催される伝統の一戦“ザ・ミルウォーキー・マイル”。17日に決勝レースが行われ、ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)がポール・トゥ・ウインで今季3勝目を挙げた。10番手スタートだった佐藤琢磨(AJフォイト)は、スタートでバランスを崩し後退し、15位でレースを終えた。

 予選日に続いて晴れ渡ったミルウォーキーでシリーズ第16戦のABCサプライ・ウィスコンシン250が開催された。晴天ながら気温は摂氏20度前後と低い、とても過ごし易いコンディションで250周、250マイルのレースは戦われた。

 ポールポジションからスタートしたポイントリーダーのパワーは、予選2位だったトニー・カナーン(チップ・ガナッシ)のアタックを跳ね除け続けてトップをキープ。250周のうちの229周をリードして優勝へと突っ走った。

 レース終盤には予選3位だったファン・パブロ・モントーヤ(チーム・ペンスキー)がカナーンをパスして2番手へと浮上。パワーとの差を縮め始めた。そのままいけばゴール目前で接近戦に発展する期待が寄せられたが、互いに前を走るマシンに進路を阻まれ、その差が縮まらないままゴールが迎えられた。ウイナーと2位の差は2秒7949だった。

 パワーはミルウォーキー初優勝。今季3勝目(セント・ピーターズバーグ、デトロイトレース1)。キャリア24勝目。ポイントトップでミルウォーキー入りした彼が、1レースでの最大である54点を稼いで獲得ポイントは602点に伸びた。その一方で、ミルウォーキーを前にポイント・ランキング2番手へとひとつ順位を落としていたエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)は、今日のレースで予選8位から逆に順位を3つ落としての11位フィニッシュ。残り2戦で両者の差は39点へと広がった。

「オーバルでの優勝は本当に嬉しい。ここ数年間、自分のオーバルでのパフォーマンスを上げようと力を注いで来た、その成果と感ずることができるからだ。今の僕はオーバルレースを心から楽しんでいる。ショートオーバルでの優勝は夢だった。そして、それが今日実現した。残り3戦は3週連続で行われる。その最初のレースを完璧な形で終えることができた。残る2レースが行われるソノマ、フォンタナは僕が得意なコースだ。残るレースも思い切り集中して戦って行くつもりだ。今日もポイントの事は一切考えずにレースを戦っていた。それが優勝に繋がった」とパワーは語った。

 チーム・ペンスキーの1-2フィニッシュはデトロイトレース2、ポコノに続いて今シーズン3回目だ。


 3位はカナーン、4位はスコット・ディクソンとターゲット・チップ・ガナッシ・レーシングがまたも上位に食い込んだ。そして、5位はジョセフ・ニューガーデン(サラ・フィッシャー・ハートマン)。ピットタイミングが悪く、ゴール前15周で燃料補給のためのピットストップを行うこととなった彼は、フレッシュタイヤを装着してライバル勢より速いラップタイムで周回。リードラップに返り咲き、サイモン・ペジナウ(シュミット・ピーターソン・ハミルトン)とライアン・ブリスコ(チップ・ガナッシ)をパス。予選と同じ5位でゴールした。ニューガーデンは予選、決勝の両方で今回はホンダ勢トップのリザルトを残した。

 佐藤琢磨はグリーンフラッグが振られたターン4でマシンを滑らせたため、予選は10位だったが、1周目を終えたところでは18位にまで順位を下げてしまっていた。1回目のピットストップを終えたところで1ラップダウンに陥った琢磨は何とかリードラップに復活しようと奮闘。

 カルロル・ムニョス(アンドレッティ・オートスポート)のトラブルによって出された今日唯一のフルコースコーション(131周目から)ではステイアウトしてラップ挽回を狙った。しかし、レースリーダーのパワーもステイアウトの作戦を採用したために1ラップダウンから抜け出すことができなかった。レース終盤にはトップグループと互角の走りを見せていた琢磨だったが、最終的に2周遅れの15位フィニッシュという結果となった。

「残念なレースでした。スタートでスピンしそうになって順位を落とし、序盤のマシンはハンドリングが良くなかったためにポジションを取り戻しいけませんでした。終盤にはマシンを良くできて、上位陣と同じペースで走ることができていました。早い段階で周回遅れになって、フルコースコーションも今日は1回しかでなかったので、それを挽回するチャンスが得られなかった。ミルウォーキーのレースには自分でもおおいに期待していたんですが……」と琢磨は悔しがっていた。
 
 ブリスコの後ろ、7位でゴールしたのはペジナウ。ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)が駆動系トラブルによりリタイア、21位だったため、ペジナウはランキングを3位へとひとつ挙げた。トップのパワーとの差は92点。6位のディクソンまで逆転チャンピオンの可能性が残されているが、現実的には1、2位のペンスキー勢によるチャンピオン争いへといよいよ絞り込まれて来た印象だ。

(Report by Masahiko Amano / Amano e Associati)