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写真展「わいせつ」と警察が指導――反発した写真家たちがネットで「署名活動」

2014年08月15日 21:41  弁護士ドットコム

弁護士ドットコム

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愛知県美術館(名古屋市)に展示されている写真家・鷹野隆大さんの作品について、愛知県警が「わいせつだ」として撤去を求めた事件が、波紋を呼んでいる。警察の指導に反発した写真家や画家などの芸術家有志が8月14日、インターネットの署名サイト「Change.org」で、「不当介入の撤回」を求める署名運動を始めたのだ。


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今回、問題となっているのは、男性の性器などが写った作品12点。報道によると、匿名の通報を受けた愛知県警が12日、美術館側に対して、「刑法に抵触するから外してください」と作品の撤去を求めたのだという。



美術館と鷹野さんは13日、部分的に紙をかぶせるなど、展示方法を少し変更したが、作品の展示自体は続けている。もともと鷹野さんの作品は、カーテンで仕切られた部屋に展示されており、部屋の入り口で、そうした写真が中にあることがアナウンスされていたという。



Change.orgでの署名活動は、15日21時の時点で賛同者が1000人を超えており、まだ広がりそうな勢いだ(サイトのURLは「www.change.org」)。



署名を呼びかけた写真家・新井卓さんは、弁護士ドットコムの取材に対し、次のようなコメントを寄せた。



「これは、鷹野さんの作品が『わいせつかどうか』というだけの問題ではありません。十分な配慮を重ねた上で公開された美術館の展示に対して、警察がいとも簡単に撤去を命じた事実は、憲法で保障された表現の自由と、美術館の公益性を傷付ける行為であり、強い憤りを感じます。芸術表現に携わる一人として、厳に抗議します」



愛知県警本部長にあてた署名の呼びかけ文は、次の通り。



●愛知県美「これからの写真」展、鷹野隆大さんの展示への不当介入の撤回


現在、愛知県美で開催中の展覧会「これからの写真」で、写真家・鷹野隆大さんの作品について、愛知県警から美術館に対して「わいせつ物の陳列にあたる」として、撤去の指示が行われました。



鷹野氏の作品は「人と人が触れあう距離感の繊細さを表す」(作家談)優れた芸術表現であり、公共の場にふさわしくない、暴力的、あるいは露悪的な性描写は一切含まれていません。



また、愛知県美は事前に出展内容を弁護士に相談した上で、観客の感情に配慮して展示室入り口を布で覆い、展示室外側に、展示内容の説明と、閲覧に注意する旨の注意書きを掲示していました。



公共施設である同美術館の、十分に配慮がなされた展示に対して警察権力が一方的に介入することは、公益に反するばかりでなく、日本国憲法第21条第1項で保障された表現の自由を侵害するものです。



愛知県警の今回の措置について強く抗議するとともに、愛知県警に対し直ちに指示を撤回するよう求めます。



文責 新井卓(写真家)



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<賛同人代表(順不同/敬称略)> ※8月15日09:00 現在



・飯沢耕太郎(写真評論家)


・管啓次郎(明治大学教員/文化研究)


・竹内万里子(京都造形芸術大学教員/批評家)


・岡村幸宣(原爆の図丸木美術館学芸員)


・佐藤守弘(京都精華大学教員/視覚文化研究)


・楠本亜紀(インディペンデント・キュレーター)


・姫野希美(赤々舎代表取締役)


・鳥原学(写真評論家)


・新城郁夫(琉球大学教員/文学研究)


・高橋朗(ギャラリーディレクター)


・北野謙(写真家)


・藤部明子(写真家)


・鷲尾和彦(写真家)


・高橋ジュンコ(写真家)


・川島秀明(画家)


・藤井健司(画家)


・竹田信平(アーティスト/映像作家)


・荘司美智子(美術家)


・垣谷智樹(美術家)



◆「これからの写真」出展作家



・鈴木崇(写真家)


・加納俊輔(写真家)


・新井卓(写真家)


(弁護士ドットコムニュース)