今シーズンの前半戦のドライバー22人を、今宮純氏がコースサイド、パドックでの独自の視点で評価。2回に分けてお届けします。
第1回目は、22人のうちのワースト11人を選出。最低評価が★★★★★5つになります。
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★
キミ・ライコネン
もう遠い昔の話になるかもしれないが、今年最初の1月へレス合同テストのトップはライコネンだった。アロンソは帰ってきたキミにタイムで負けた(それが危機感を感じさせたのかもしれない)。が、開幕後レース戦績でキミは全敗、冬の話題だったチームメイト対決は一方的な結果に。何が狂っていったのか。硬めPタイヤのフロントグリップとF14 Tリヤブレーキの感触、繊細な彼はこの二点に悩み続けた。
セバスチャン・ベッテル
コーナー出口でいつも滑ってる4冠王ベッテル。アクセルオンへの移行で、動きがリカルドと違うのに春からびっくり。“ニューウェイ・ダウンフォースマジック"をフル活用してきた彼にとって、低速コーナーで踏めば踏むほどグリップした今までとは状況が一変。オフブローなし、14年新規定にやられた最大の被害者(?)
★★
ロメイン・グロージャン
「E22ダメじゃん!」と無線で悲痛な声。それを母親のように優しく受けとめる小松礼雄エンジニアは「ソーリー」と。短気な癖をもう少し直せばナチュラルな速さを秘めているだけに、もう一皮むけるのに……。
ジャン・リュック・ベルニュ
ある意味、同じフランスのグロージャンとは正反対の“レース性格"かも。低中速コーナーでクイックに反応できるスキルは〇、でも猪突猛進タイプではなくてナイーブ。ウエット路面になるとそれが活きるが。
★★★
フェリペ・マッサ
今年ウイリアムズに加入して最初のいい仕事が合同テストを1位で締めくくったこと。「マッサを見習え!」、ボッタスはピットストップ停止位置の正確さなどを指摘された。ところが実戦ではいきなり接触アクシデントばかり、単独走ならタイムを刻めるのに密集情況で“視野が狭くなる"マッサにチームもちょっと……。
パストール・マルドナド
熱い心意気はベネズエラ人そのもの。ペナルティ審議対象プレーが多く、いつも悪い方になってしまう。優勝経験から何か変わったかといえば、変化がないのがとても珍しい。
ケビン・マグヌッセン
初戦デビュー2位がかえって重荷になったのではないか。テクニカルフードバックでバトンを見習い、難しいMP4/29で学習し直す前半戦だった。それ以上、特になし。
★★★★
セルジオ・ペレス
二面性を持ったドライバーを今まで何人も見てきているが、彼は極端だ。ロングスティントを命じられるとしっかりこなしてみせる。だが、トップグループ内で同じ作戦となると接触事故が急に増える。コーナーで“自己主張"が強すぎるからなのだろう。ベネズエラもメキシコも似た国民性なのかとさえ思わせる。面倒を見ている松崎淳エンジニアは彼の才能に期待しつつ、「もっと勉強しなさい」と言っているらしい。
マックス・チルトン
新人25戦完走記録が止まったモナコGP。英国メディアはそれを褒めていたが、ひとりだけフリー走行でちぐはぐなラインを走り、昨年から危うい事故のきっかけを作っていた。それでも2年目シートを確保でき、コースをマスターし、ビアンキに近いレベルに。英国人でなければあり得ない恵まれたF1人生だ。
★★★★★
マーカス・エリクソン
モーターホームでは好青年とお見受けしても、コース上でのインパクトは前半戦ほとんどない。その実力度合いを一番よく分かっているのは小林だろう。
エスティバン・グティエレス
イケメンファンには申し訳ないが2年目チャンスを活かしきれていない。攻めると乱れ、コースサイドにいていつも緊張する。いつ飛び外れてくるかと、コースマーシャルさんたちも構えるほど。それでも彼をレギュラーに据えなくてはならないザウバーのモニシャさんの心境がよく分かる。来年メキシコGP復活まで頑張ることが彼のミッション。この黒星評価とは関係ない次元で、グティエレス君には頑張ってもらうしかない。
※上位11人のランキングは、また次回、お楽しみ下さい。