トップへ

スーパーGT500クラスの“ジョーカー”の存在が明らかに。GT-Rがまず行使

2014年08月06日 20:10  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

スーパーGT鈴鹿テストでフリックボックス部分がカモフラージュされた状態で走行したカルソニックIMPUL GT-R
スーパーGTをプロモートするGTアソシエイションは6日、メディア向けに2014年スーパーGT500クラス車両の登録規則、付加登録規則、そして登録品目一覧について公開した。この中で、2014年に限り一度だけ指定された部位に関して改良を加えられる“ジョーカー申請”が行えることが明らかにされるとともに、7月17日付けでニッサンGT-Rからジョーカー申請があったことが公開された。

 今季、DTMドイツツーリングカー選手権と車両規定を統一化したスーパーGT500クラス。車両は多くの共通パーツが使用されているが、メーカーで開発できる部分もあり、各メーカーの個性が現れている。ただ、これらはすべてシーズン開幕前にGTAにJAF-GT500車両として登録され、それ以降は原則として、昨年までのようにシーズン中に改良を加えることができない。これはDTMも同様だ。

 ただ、この車両改良についてはGT500車両の場合例外があり、ひとつは高速コースである富士スピードウェイ用の“ロードラッグ仕様”のための『低ドラッグフリックボックス(フロントバンパー左右の部分)』の登録。もうひとつは車両製造者または輸入総代理店による提出された誤った情報の誤記訂正(ER)、構成要素の変更による正常進化(ET)という追加登録だ。第4戦SUGOの前に、ホンダNSXコンセプト-GTに施された改良は、このETにあたる。

 さらに今回公開された登録規則について読み解くと、付加規定として下記の文言を見ることができる。

********
以下の部位につき、2014年に限り一度だけ、車両製造者/輸入総代理店はジョーカー申請を行うことができる。

* 技術規則 3.21.7 フリックボックスで規定された部位
* 技術規則 3.22.6 フロントホイールハウス自由区域で規定された部位
* 技術規則 3.22.8 リアホイールハウス自由区域で規定された部位

申請が承認された場合、基本登録申請書に記述された該当するすべての内容はキャンセルされ、新たな登録内容に差し替えられる。
ただし、フロントホイールハウス自由区域部品は低ドラッグフリックボックス(富士スピードウェイのみ)と組み合わせて使用して良い。登録申請書類は、図面、CADデータおよび写真と共に、初めて使用するイベントの3週間前迄にGTAへ提出されなければならない。
********

 この文中の『ジョーカー申請』というものがポイントで、これまで噂には上がっていたが、正式に公開されてはいなかったもの。これは、新GT500クラスの車両が今季初年度にあたるため、ER、ETに当てはまらない中でも、フリックボックス、前後ホイールハウス内で、改良を一度だけ行うことができるというものだ。『ジョーカー』は、トランプで言う特別なカードで、切り札の意味を持つ。

 今回、これらの規則とともに、2014年度のGT500車両の登録品目の一覧も公開された。これは非常に興味深いもので、4月1日にニッサンGT-RがGT500-14-001として、ホンダNSXコンセプト-GTがGT500-14-002として、レクサスRC FがGT500-14-003として基本車両登録がされた後、4月中に各メーカーが低ドラッグフリックボックスを登録。また、ERが何回か行われ、ホンダNSXコンセプト-GTはETとして5品目が7月に登録された。

 そして、7月17日付けでGT500-14-001にあたるニッサンGT-Rにジョーカー登録がなされている。内容は、フリックボックス(低ドラッグではない)、前/後ホイールハウスとなっている。前述の付加規定と登録日を見ると、富士から前/後ホイールハウスを使用することが可能ということだ。

 すでに鈴鹿で行われた公式テスト、タイヤメーカーテストではGT-Rのフリックボックスがカモフラージュされた状態で登場している。これが“ジョーカー”のパーツとみて間違いないだろう。今後レクサス、ホンダがいつジョーカーを切ってくるのか、そしてシーズンの折り返しでジョーカーを切ってきたニッサンGT-Rの速さに注目したいところだ。