メルセデスベンツのDTMプロジェクトを率いるウォルフガング・シャトリングは、DTM第6戦レッドブルリンクでロバート・ウィケンスに対して出されたペナルティについて、スチュワードが同じメルセデスのパスカル・ウェーレインと誤解しているのではないかという見解を語った。
第6戦レッドブルリンクでポールポジションを獲得したウィケンスは、序盤のレースをリード。ピットインを行ったが、背後につけていたティモ・グロック(BMW M4 DTM)も同時にピットへ。グロックがわずかに早くピットアウトしたが、ウィケンスはその直後、グロックの鼻先へピットアウト。これがアンセーフ・リリースとしてペナルティを課された。
しかし、28周目にドライブスルー・ペナルティの裁定が課されたにも関わらず、ウィケンスは首位争いを展開。ジェイミー・グリーン(アウディRS5 DTM)がタイヤの使用規定でペナルティを課された後、アウグスト・ファーフス(BMW M4 DTM)をかわし再びトップに返り咲いた。ただ、その間6周の周回が過ぎ、ペナルティを尊重しなかったとして失格裁定である黒旗がウィケンスに提示された。
シャトリングは、チームがウィケンスとほぼ同時にピットインを行ったウェーレインに対してアンセーフ・リリースとしてペナルティを与えると確信していたため、ウィケンスをピットに戻さなかったと主張している。ウェーレインはこのレースで優勝したマルコ・ウィットマン(BMW M4 DTM)とピットレーンで接触しており、スチュワードが誤認しているのではないかと言う。
「ロバートは何も間違ったことはしていないというのが我々の観点だ」とシャトリング。
「我々はレースの間、誤解があっただろうと確信していたんだ。この時、ふたつの事件があった。ひとつはパスカルで、もうひとつはロバートだ」
「パスカルは我々の観点ではアンセーフ・リリースだったが、こちらはペナルティがなかった。でもロバートはそうじゃない。彼らはバンパー・トゥ・バンパーになったが、しっかり残っている。第三者の手によって、それまで素晴らしい仕事をしてきた者のレースを破壊されるのは期待していたものではなかった」
「我々はスチュワードに対し、誤解があったに違いないと訴えたんだ。ただそれには時間がかかり、結局最後には黒旗が出されてしまった。決してロバートがピットに入りたくないと主張した訳ではない。我々の決定だったんだ」
一方、ウィケンスに前に入られる形になったグロックは、当時の状況について接触を避けるために減速する必要があり、ペナルティは正当なものだったと語っている。
「結局、彼は少しのスペースも与えてくれなかったよ。僕はウォールにヒットするか、彼にヒットするかしかなくて、減速せざるを得なかった。彼がもう少しスペースを与えてくれたなら状況は違っただろうね」とグロック。
「彼は僕を絞り出すようにしてきたから、ブレーキを踏まざるを得なかった。最終的に僕が感じたようにスチュワードがそう判断したんだから、それは正しいだろう? あまり多くを言うことは難しいけど、僕にはスペースがなかったんだよ」
一方、ウィケンスと「誤認された」とされているウェーレインにもレース後ペナルティが下り、次戦ニュルブルクリンクで3グリッドダウンの裁定となっている。