豊田章男トヨタ社長の依頼を受けてトミ・マキネンが製作したトヨタの4WD仕様GT86が、ラリーフィンランド開催中の8月1日、初めて公衆の前で走行を披露した。トミ・マキネンがステアリングを握り、トヨタ自動車の豊田章男社長が乗り込んだ。
豊田社長は事前に、ラリーフィンランドの本拠地であるユバスキラ近郊の、トミ・マキネン・レーシングの本社周辺の道でプライベートテストを行い、自らの手でこのマシンをドライブしていた。
マキネンは、今回のラリーフィンランドにSS7として設定されていたカカリストの競技スタート直前、SSの前半セクションを競技スピードで走行した。トヨタのゲストがにぎわうホスピタリティエリアの前を通過するコースだった。
豊田社長のWRC訪問、そしてGT86の走行は、トヨタのWRC復帰を推測させるものだったが、wrc.comの取材に対し豊田社長は、復帰の可能性に関しては何も触れなかったものの「今後の我々の活動に注目していてください」とだけ語った。
「今回、私はWRCについて学ぶためにここに来ました。トヨタのラリーのDNAが私にとってとても、とても大きい存在であることが分かりました」と豊田社長。
「トヨタの社長として、私も伝説の続きをつないでいきたい。ご存じのとおり、トヨタは大きな会社ですので、社長の言うことは誰も聞きません(笑)! ですから、よりよいクルマを作るためにトヨタのラリーへの参加が必要であることを、私がみんなに見せなくてはならないのです」
また、豊田社長はマキネンとの出会いについて次のように語っている。
「今年のはじめに、私は日本でトミに会いました。彼は私をWRCに誘い、多くの興味深い道があるフィンランドをドライブするべきだと勧めました。そこで、彼に私のためにクルマを作ってほしいとお願いしました」
「それが、彼がドライバー、私がコ・ドライバーを務めたこの赤いクルマです。私の場合はペースノートはなく、楽しんでいただけですが。このようなシートからWRCを見ることができて、私は本当に幸運です!」
また、マキネンもドライブ後、「僕も楽しむことができた。トヨダさんもとても楽しんだと確信しているよ」と語っている。
走行したGT86は外観上はリヤウイングがついているほか、ボンネットにはエア抜きなどの穴が開けられている以外は大きな変更は見受けられない。