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佐藤公哉&タキ井上GP2放談!(7):消火器ネタは十分です……

2014年07月31日 18:40  AUTOSPORT web

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このコーナーでちょくちょく登場する日本料理店で話し込む公哉とタキ井上
2014年シーズンのGP2シリーズにカンポス・レーシングから今季から参戦している佐藤公哉だが、GP2第7大会ハンガロリンクで、レース1では予選4番手を奪う活躍をみせるも、レース1では追突される不運に。マネジメントチーム兼レーシングチームであるユーロノヴァ・レーシングのオーナー、“タキ井上”こと井上隆智穂はレースが終わった後、公哉を慰めた。

●公哉くん、今回も激おこ
井上隆智穂(以下タキ):公哉くーん、お疲れ……さま……でした……。
佐藤公哉(以下公哉):ハーーーッ。
タキ:……(汗)。
公哉:このレースシリーズやっていて、ホントに良いんですかね?
タキ:え? も、も、もちろんだよ(汗)。
公哉:もう、止めませんか?
タキ:いやいやいやいや。
公哉:1レースめ、絶対に抜けないようなコーナーで後ろからぶつかって押し出してくるとか、あり得ませんよ! ドライバーのレベルを疑います。
タキ:たしかに、アレはないよな~。
公哉:2レースめもクルマのトラブルで終わりですし、ホント、踏んだり蹴ったりですよ!
タキ:公哉くん、ちょっと落ち着いて。冷静に、冷静に……。
公哉:そう言っているうちにシーズンは後半戦に入って、残りは4大会しかないんですよ! このままシーズンオフを迎えるなんて納得できませんよ!
タキ:……。
公哉:フーーーッ。
タキ:少し冷静になろうよ。ね? ね?
公哉:はい。少し興奮しすぎました。すみません。
タキ:いいの、いいの。公哉くんの気持ち、痛いほど分かるから。
公哉:ホントですか?
タキ:うん、うん。
公哉:はい。分かりました。

●いない間のセットアップ変更
タキ:今回、たしかに結果は残らなかったよ。でも、すごく大きな収穫があったと思わない?
公哉:たとえば?
タキ:公哉くんはGP2のホッケンハイムを欠場して、レッドブルリンクのAUTO GPに出場したよね。それでホッケンハイムのGP2にはアレクサンダー・ロッシを代役に立てたわけだけれど、ロッシの結果を見て、あのとき公哉くんはどう思った?
公哉:正直、ドライバーの腕の差なのかと落ち込みました。
タキ:そう思っても不思議じゃないよな。でも、ホッケンハイムのGP2でカンポス・レーシングは、27号車のセットアップを大きく変えて臨んだんだよ。
公哉:そうだったんですか?
タキ:今まで27号車のセットアップは、チームメイトのアルサー・ピック寄りだったけれど、公哉くんのドライビングスタイルを考慮した味付けにしてロッシが走らせた。そうしたらロッシは、「このセットアップならいける。まだ納得できないところはあるけれど、自分があとはなんとかする」というコメントだったんだ。
公哉:なるほど。心強いですね。
タキ:結果、ロッシはホッケンハイムで良いパフォーマンスを見せたよね。
公哉:ええ。
タキ:僕がそのとき考えたのは、次のハンガロリンクで公哉くんがこのクルマを乗りこなせるかどうかだった。実はホッケンハイムのセットアップとハンガロリンクのセットアップはほぼ同じだったんだ。これは僕がホッケンハイムで見てエンジニアと話して、ここハンガロリンクでもエンジニアと話して確認したことなんだ。
公哉:じゃあ、ハンガロリンクで僕の実力があらためて試されたということですか?
タキ:うん。結果、予選4番手だったでしょ? 僕はあらためて公哉くんの才能を確信したし、正直に言えば同時に安心したんだ。

●好結果に浮き足立つ(?)カンポス・レーシング
公哉:つまり、これまでは僕を疑っていたとか?
タキ:いやいやいやいや。そんなことないよ! 実際、ホッケンハイムのロッシのパフォーマンスは、チームのセットアップの変更がきっかけだったし、ハンガロリンクのクルマもロッシが作ったわけじゃない。チームのほんのちょっとのセットアップ変更が、劇的な戦闘力アップにつながったんだから。実際、27号車を運転してみてどうだった?
公哉:これまではいつも滑りまくりのクルマでしたけれど、ハンガロリンクではミディアムタイヤを履いた練習走行の段階から明確にグリップを感じました。
タキ:でしょ? そこが大きな収穫なのよ! たしかに練習走行は7番手だったけれど、予選に向けて手応えを感じたでしょ?
公哉:ええ、感じました。予選、1セット目のソフトタイヤでタイムアタックに臨んだとき、これならいけると思いました。
タキ:で、ピックと公哉くんは予選の前半時点では、ランキング上位のドライバーを後ろに従えてワン・ツー体制だったからね。
公哉:あれにはチームも浮き足立っちゃって、コクピットからその光景を見たり無線で会話を聞いていて笑っちゃいましたよ。
タキ:エイドリアン・カンポスもびっくりしただろうな!
公哉:カンポスさんは意味もなくウロウロしていましたし、担当エンジニアのエミリオも興奮していましたし、あのときいちばん冷静だったのはデータエンジニアでしたね。まあ、2セットめのソフトタイヤでタイムアタックに臨んだときは、渋滞に邪魔されてしまいましたけれどね。
タキ:それでも予選4番手は立派だったし、渋滞に邪魔された周回もセクター1はベスト。セクター2と3の伸び代を考えると、ポールポジションも現実的だったよね。
公哉:それははっきりと見えました。

●ハンガロリンク&タキ井上と言えば……
タキ:でしょ? ここで結果が出なかったからといって、決してヤケになることはないんだよ。
公哉:はい。でも、やはり結果は欲しかったというのが正直なところです。
タキ:たしかに目先の結果は必要だけれど、いまの公哉くんにとってはそれが最優先じゃないんだ。
公哉:うーん。次のスパ・フランコルシャンで、同じ手応えをクルマに感じられれば少しは安心しますけれど……。2レースめのマシントラブルだって、コクピットにいきなり白い煙が上がったと思ったら、腰のあたりに熱さというか激しい痛みを感じたのでクルマを停めましたしね。
タキ:あれ、なんのトラブルなのかは聞いた?
公哉:いえ。詳しくは知りません。クルマが返って来る前にサーキットを離れちゃいましたし。
タキ:あれ、コクピット内の消火器が、なぜか全噴射していたんだって。
公哉:なんですか、それ? ハンガリーの消火器ネタは、井上さんだけでもう十分でしょうに!
タキ:たしかに……(汗)。

(Kojiro Ishii)