スーパー耐久第3戦富士/7時間の耐久レースを制する3号車ENDLESS ADVAN BMW スーパー耐久シリーズ第3戦が、7月26~27日に富士スピードウェイで開催され、ST-Xクラスのライバルにトラブルが相次ぐ中、まったく危なげない走りを見せた峰尾恭輔/YUKE TANIGUCHI/飯田章組の3号車ENDLESS ADVAN BMWが、逆転で今季初優勝を飾った。
富士が舞台の伝統の一戦、「SUPER TEC」が国内の四輪レースとは最長となる、7時間レースに改められて今年で2年目。「夏の祭典」として強烈な暑さもライバルとする中、星野一樹がレコードタイムを更新した81号車GTNET ADVAN NISSAN GT-Rが、尾本直史との合算タイムもトップとし、2戦連続でポールポジションを獲得する。
「この上もないアタックができました。クルマも調子いいし、僕もほぼ完璧に走れましたから、この流れを決勝にも持って行きたいですね」と星野は語る。
決勝のスタートは青木孝行が担当し、早々と逃げの構えに出たのに対し、開幕戦以来の勝利を狙う24号車スリーボンド日産自動車大学校GT-Rの藤井誠暢はペースが上がらず、12周目にENDLESS ADVAN BMWの峰尾の逆転を許す。さらに青木にも迫ろうとした峰尾ながら、その2周後にスピン。4番手への後退は、大きな痛手だと思われた。
その後、ライバルにトラブルが続出。スリーボンド日産自動車大学校GT-Rですら、接触によるダメージの修復に多くの時間を費やしてしまう。気がつけば、峰尾の挽回と飯田の激走もあって終盤にはトップに浮上。そして期待された星野の猛追も、パドルシフトのトラブルによって実現ならず。大量のリードを得たENDLESS ADVAN BMWは、谷口が慎重な走りで最初にチェッカーを受けることに成功する。「ずっと勝てていなかったので、やっと勝てて、すごく嬉しいです。これからも諦めないで戦って、また優勝したいと思います」と峰尾。GTNET ADVAN NISSAN GT-Rは、2周遅れでの2位フィニッシュとなった。
ST-1クラスでは、37号車KeePer I.P.Sが第1スティントの中山雄一は、51号車Diamango BMW Z4の先行を許してしまったが、第2スティント担当の平川亮に代わって間もなく逆転に成功。フレッシュなふたりが完璧なリレーを見せた。逆にZ4勢には序盤早々に9号車Faust Racing BMW Z4がフライバイワイヤーのトラブルで遅れ、さらにDiamango BMW Z4は左リヤハブのトラブルでリタイア。ST-Xクラスも含め、有力どころに相次いだ脱落もあって、初優勝には総合3位という花も添えられることとなった。
ST-2クラスでは予選トップだった、59号車STURM MOTUL EDインプレッサがスタートで遅れ、代わってレース序盤は6号車新菱オートDIXCELエボIXの菊地靖、そして20号車RSオガワADVANランサーの阪口良平のトップ争いが盛り上がる。素早いピット作業もあって、やがてSTURM MOTUL EDインプレッサがトップに返り咲くも、2回のドライビングスルーペナルティで順位を落としたばかりか、終盤にはタイヤトラブルにも見舞われる。これで難なくRSオガワADVANランサーがトップに浮上。阪口と大橋正澄、そして花岡翔太が今年初めて表彰台の中央で笑顔を見せることとなった。
6クラスで唯一、開幕3連勝に成功したのがST-3クラス。asset ings Z34の35号車を駆る、前嶋秀司/佐々木雅弘/廣川和希/安田裕信組は全車をほぼ周回遅れとし、ただ結果を見ただけなら圧勝だったと、誰もが思うだろう。しかし、第2スティントを担当し、これが初めての決勝での走行だった廣川が、黄旗区間で追い越しをしてしまう。続いて走行した前嶋が20秒ストップのペナルティを受け持つが、そこからの激走で挽回にも成功。再びトップに立ってからは、後続からの脅威を覚えることは一切なかった。
ST-4クラスでは41号車UEMATSU×TRACY SPORTS ings S2000が予選でトップに。決勝でも助っ人として起用した佐々木孝太の奮闘によって、トップを邁進した。41号車に単純な速さ、特にストレートでは勝負にならないと判断したのが86号車GAZOO Racing SPIRIT 86で、自慢の好燃費を活かすことに作戦を変更。井口卓人がスタートから2時間2分、61周も走り続けてトップを奪ったが抵抗を許されたのはそれだけだった。やがてUEMATSU×TRACY SPORTS ings S2000はトップを奪い返し、その後の植松忠雄、寺西玲央、そして藤田竜樹とのリレーをしっかり決めて、難なく逃げ切りに成功。ディフェンディングチャンピオンが、ようやく意地を見せることになった。GAZOO Racing SPIRITは、あえてライバルとはピットタイミングをずらしてクリアを獲り続けて走る作戦が功を奏し、富士では望外ともいえる2位を獲得した。
一方、ST-5クラスではスタートからしばらく続いた、99号車BRP★J’S RACINGフィット3の梅本淳一、そして2号車ホンダカーズ野崎with BOMEXのトップ争いが観客席の視線を釘づけとした。だが、ホンダカーズ野崎with BOMEXは足まわりに不調を来してリタイア、さらにBRP★J’S RACING 2000はST-X車両との接触で、予定外のピットストップを余儀なくされてしまう。その結果、95号車リジカラFIT3がまたしてもトップでチェッカーを受ける。しかし、燃料タンクに対する抗議をBRP★J’S RACINGフィット3から受け、出された裁定を不服としたことから控訴することに。そのため暫定結果に留保されたが、棄却されればBRP★J’S RACINGフィット3が繰り上がって今季初優勝を得ることとなる。
(はた☆なおゆき)