90台というエントリーを集めた86/BRZ Race富士。決勝Aでは青木が嬉しい初勝利を飾った 激戦続くGAZOO Racing 86/BRZ Raceも、いよいよシリーズ後半戦に突入。第6戦は富士スピードウェイを舞台にワンデイレースとして90台のエントリーを集め開催され、ポールポジションからスタートを切った青木孝行(ケーエムエスADVAN 86R)が、トップで1コーナーに飛び込んだ後は、後続の激しいバトルを尻目に逃げ切りに成功。86/BRZ Raceでの初優勝を飾ることとなった。
ここまで5戦3勝と、ポイントランキングでも独走中の谷口信輝ながら、今回はオートポリスのD1グランプリに出場するため、織戸学ともども欠場。ライバルたちにしてみれば、少しでも差を詰める絶好のチャンスとなっていた。そんな中、金曜日に行われた専有走行において、1組のトップだったのは山野直也(CABANA BSμ86)で、2組は青木がトップだった。前週のPCCJレース中に腰を痛めた山野は、併催のスーパー耐久こそ大事をとって欠場したが、86/BRZ Raceならば負担が少ないと判断。結果、問題なく走れたことから本戦への出場も決めることとなった。
土曜日の早朝8時からスタートした予選は、まず1組のトップを山野が獲得。専有走行よりコンマ5秒上げて、2分6秒479を記すこととなった。「一発で出したタイムなんですけど、セクター3で少し引っかかっているので、もうちょっといけたかな。腰のハンデを思えば上出来かと。本当はなんでもないんだけど、このコルセット、20kgあるから(笑)」と山野。最後の最後に逆転を許し、2番手に甘んじたものの、小河諒(神奈川トヨタ☆DTEC 86R)は自己最上位。
一方、2組では「直也が出した6秒4をターゲットにしていた」という青木の走りが注目されるが、実際に出されたタイムはそれ以上。なんと5秒813をマークして、7月も後半だというのにレコードタイムを更新してしまったのだ!「自分でもビックリしました。早めにいって、しっかりクリアも取れたんですけど、5秒ってのを知って計測ミスかと思いました。まさか、こんな時季にレコード出るなんて思わなかった」と青木。2番手には菊地靖(神奈川トヨタ☆DTEC 86R)がつけたものの、ベストタイムは走路外走行時だったため、当該タイムを抹消されて3番手に後退。2番手には阪口良平(AREA86倉敷)が躍り出ることとなった。
ワンデイレースのため、予選終了から7時間足らずで決勝レースのスタート進行を迎えることとなった。12列目からスタートするはずだった、蒲生尚弥(ASICS Blue 86R)が電気系トラブルでフォーメーションラップにストップする波乱はあったが、残る44台はシグナルのブラックアウトと同時にグリッドを離れ、1コーナーに飛び込んでいく。もちろん、最初に飛び込んでいったのは青木。アプローチの最中に後続から追突されるも、幸いダメージはなし。むしろ、後続のバトルが激しくなる間に、早々と独走態勢を築き上げてしまう。
その激しいバトルとは、山野、阪口、小河、菊地らによる2番手争いで、早々と脱落してしまったのが山野だった。ダンロップコーナーでの接触により、左リヤのタイヤにダメージを負ってストップ。これにより、小河が3番手に浮上する。
1周目を終えると、青木のリードは実に3秒に。そして阪口の背後に小河が迫り、3周目にはコカコーラコーナー、ヘアピンで相次いでアタックをかけるも、この周の逆転は許されず。そこで小河は作戦を切り替え、4周目のダンロップコーナーでインを刺し、阪口をオーバーテイクする。ペースの上がらない阪口は5周目に菊地に、6周目に久保凛太郎(CG ROBOT 86 BS wNC)にもかわされて5番手に。しかし、それ以上の後退はなんとか踏み留まった。
ファステストラップこそ小河に奪われたものの、青木は最後まで後続の脅威を感じることなく走行。ほぼ5秒の差をつけ、最初にチェッカーを受ける。「後ろで激しくやり合ってくれて、早い段階で差がついたけど、だからといって気を抜いて走ったわけではなく、けっこう気合入れて走り続けていましたよ。ようやく勝てました。86では(笑)」と、前週のGT300に続いての勝利で、今まさに絶好調ということなのだろう。
2位の小河も、これが86/BRZ Raceでの最上位。「初めて表彰台に上がったばかりか、初ポイントが前回ですから。我ながら頑張りました」と笑顔を見せた。その小河とチームメイトの菊地も、3位でフィニッシュし、揃って表彰台に上がることとなった。なお、非ヨコハマ勢でのトップは、ブリヂストンユーザーの久保。表彰台には届かなかったが、4位でゴールした。
なお、今回がレースデビューとなる元プロ野球選手の山崎武司(CABANA BS μ 86)は予選B組41番手に。予選46位以下を対象とした決勝Bレースを戦い、42台中30位でチェッカーを受けた。