ブランパン耐久シリーズ(BES)第4戦スパ24時間は27日、24時間レースのチェッカーが振られ、ローレンス・バンスール/マーカス・ビンケルホック/レネ・ラスト組ベルジャン・アウディクラブ・チームWRTの1号車アウディR8 LMSウルトラが優勝を飾った。
61台のGT3カーが、26日の16時30分にスタートした伝統のスパ24時間耐久レース。メーカーセミワークスのヨーロッパの強豪チームからプライベートチームまでが集い、序盤から耐久レースとは思えない戦いが展開されていく。接触や大きなクラッシュによるセーフティカーも序盤は相次いだ。
特に大きなクラッシュとなったのは4時間後の時点で、ケッセル・レーシングの111号車、理ナルディの333号車フェラーリがスタブローの出口で接触。333号車は炎上、111号車をドライブしていたマーカス・マーヒーが意識不明となったため、この救出のために赤旗中断となった。イギリスのアマチュアドライバーであるマーヒーは、病院搬送後意識を回復。手足をしっかり動かすことができたという。
そんな中序盤の混乱の中、上位を占めていったのはWRTのアウディ勢。6月のル・マン24時間、ニュルブルクリンク24時間に次ぐ24時間レース3連勝を目指したアウディは、WRTの2号車にル・マン優勝トリオのマルセル・ファスラー/アンドレ・ロッテラー/ブノワ・トレルイエ組を乗せるなど必勝体制。ポールスタートの1号車を中心に、3号車、2号車が表彰台圏内を争っていく。
そのアウディ勢に対抗したのが、BMWスポーツトロフィー・マルクVDSの77号車BMW Z4 GT3。サンテロック・レーシングの26号車アウディに続き、HTPモータースポーツの86号車メルセデスベンツSLS AMG GT3も上位に食らいついていった。しかし、2号車アウディが接触等で徐々に遅れていく中、レースは終盤に向けて1号車アウディ、77号車BMWという2台のマッチレースの様相に。3号車アウディも3番手につけたが、上位2台とは1周差がついていた。
1号車アウディと77号車BMWはルーティンストップのたびに順位を入れ替えるような展開となったが、77号車はABSとトラクションコントロールに不調を抱える。アウディの優勝を阻止したいマルクVDSは、最後のピットストップでタイヤ無交換作戦を敢行し20秒のリードを得るが、自力のペースに優る1号車が一気に差を詰め逆転。白熱の24時間を制し優勝を飾った。77号車BMWとのチェッカー時の差は7秒だった。2位は77号車BMW、3位は3号車アウディ、4位は26号車アウディ、5位は86号車メルセデスという結果に。初の24時間レースに臨んだベントレー勢はトップ10入りを逃した。
アウディはこの結果により、R18 e-トロン・クワトロによるル・マン、R8 LMSウルトラによるニュル、そして同じくR8によるスパと、ヨーロッパの伝統的な24時間レースを1年の間ですべて制するという偉業を達成。しかもいずれも同様のカラーリングを纏った車両によるものだ。
一方、プロ-アマクラスはニーク・ホマソン/ルイス・マーシェル/アンドレア・ベルトリーニ/マルコ・チオーキ組AFコルセの53号車フェラーリが優勝を飾った。ニッサンGTアカデミー・チームRJNのニッサンGT-RニスモGT3勢は、80号車がクラス13位で完走。マーク・シュルツイスキー/柳田真孝/千代勝正/ミゲール・フェイスカ組35号車は接触による後退等もあったものの、クラス19位で完走を果たした。