2014年07月28日 11:21 弁護士ドットコム
人気アニメ『美少女戦士セーラームーン』の新シリーズが17年ぶりに公開され、話題となっている。原作の誕生から20年。単行本は17カ国で翻訳され、アニメは40カ国以上で放送されるなど、世界的アニメに成長した。
【関連記事:「業界の空気が変わってほしい」連載を取り消された漫画家・やまもとありささんに聞く】
新シリーズで再びファンたちの熱気が高まるなか、ネット上では海外のファンがつくったサイト「Sailor Senshi Maker(セーラー戦士メーカー)」が注目を集めている。髪型や顔のパーツ、コスチュームなどを選んでいくことで、簡単に自分好みの「セーラー戦士っぽいキャラクター」を作ることができるのだ。
顔やコスチュームのパーツ1つ1つは、『セーラームーン』の登場キャラを踏まえて描かれたもののようで、組み合わせによっては登場人物そっくりのキャラクターを作ることが可能だ。このサイトでつくった「自分なりのセーラー戦士」をネットで公開したら、著作権法上、問題となってしまうのだろうか。南部朋子弁護士に聞いた。
「アニメキャラクターの絵は通常、著作物と考えられます。ですから、原則として著作権者の承諾なく、複製したり、もとの著作物に新たな創作性を加えて別の著作物を作ったり、インターネットなどを経由して公に配信することはできません。
キャラクターの絵は、それが顔やコスチュームのパーツだけであっても、それ自体が著作物として保護される可能性があります」
ただ、今回は、顔などのパーツ自体が「アニメと完全に同一」とまでは言い切れない。そんな場合はどうだろう。
「それぞれのパーツが、もとの絵のものと違う場合には、正直、著作権侵害かどうかの判断が難しいですね。ひとつひとつのパーツが表現としてありふれている場合には、もとの絵の著作権侵害とはならないでしょう」
「ただし、このサイトはパーツを組み合わせてキャラクターを完成させていく過程で、もとのキャラ絵との共通点が増えていくことがありますね。そうしてできあがった絵が『ありふれたものではない』と評価された場合は、もとの絵の著作権侵害となる可能性はあると思われます」
南部弁護士はこのように指摘していた。そうすると、こうしたサイトでつくった「セーラー戦士」は、自分のブログで公開したりしないほうが安全だといえそうだ。
(弁護士ドットコム トピックス)
【取材協力弁護士】
南部 朋子(なんぶ・ともこ)弁護士
著作権法、商標法など知的財産法や国際取引をめぐる法律問題を担当している。ロボットをめぐる法律問題についても研究中。主な著書に『図解入門ビジネス 最新 著作権の基本と仕組みがよ~くわかる本(第2版)(秀和システム)(共著)』。
事務所名:弁護士法人リバーシティ法律事務所
事務所URL:http://www.rclo.jp/