「ドライコンディションだと、かなり厳しい戦いになりそう」と言っていた土曜日、予選後の可夢偉。「雨が降ったり止んだりする、変化の大きい状況になければ、おもしろそう」と語っていたとおり、日曜日のハンガロリンクは、レース開始直前に豪雨となり、スタート時には雨は上がっていたものの、全車インターミディエイトタイヤを装着してスタートする、先が読めないレースとなった。
8周目にはチームメイトのマーカス・エリクソンがクラッシュしてセーフティカーが出動し、23周目にもセルジオ・ペレスがホームストレート上で激しくクラッシュして2度目のセーフティカーが出るという荒れた展開。しかし、この時点で路面は完全にドライコンディションとなり、その後雨が降る可能性もほとんどなかったことから、可夢偉は「あと5回ぐらいセーフティカーが入ってくれないと入賞は厳しいな」と思いながら、2度目のセーフティカーランを走行していた。
その矢先、トラブルが可夢偉を襲う。エンジンパワーが失われたのである。原因は燃圧だった。コース脇にマシンを止め、リタイア。夏休み前、最後のレースは不完全燃焼に終わった。
今シーズンここまで11戦を走り、完走7回、最高位は第2戦マレーシアGPと第6戦モナコGPの13位。マルシャのマックス・チルトンも最高位は13位が2回と可夢偉と同じだが、次に良い成績が、可夢偉が15位なのに対してチルトンは14位。ドライバーズ選手権の順位では、可夢偉は最下位という結果で後半戦に向かう。もちろん、目標が最下位脱出や、チルトンを逆転することではないことは、可夢偉自身もよくわかっている。
「目標はコンストラクターズ選手権10位。今日、ザウバーがポイントを取り損ねたので、まだチャンスはある」と語った可夢偉。「それでは、後半戦も期待もしています」とこちらが言うと、「ちょっと休ませてください。だって、今年の前半戦は2年間分ぐらいの経験をしましたから」と、夏休みに入るのを楽しみにする少年のような目をして、笑った。