2014年F1第11戦ハンガリーGPは27日(現地時間)、ブダペスト郊外にあるハンガロリンクで70周の決勝レースが行われ、レッドブルのダニエル・リカルドが逆転で今シーズン2勝目を挙げた。ケータハムの小林可夢偉はリタイアに終わっている。
タイトルを争うメルセデスのルイス・ハミルトンが予選でアクシデントに見舞われ、ピットレーンスタートを余儀なくされたハンガリーGPの決勝。だがレースはスタート直前に降った雨の影響で序盤に2度のセーフティカーが出動する波乱の幕開けとなり、レース終盤もフィニッシュ目前まで3台による激しいトップ争いが繰り広げられる白熱の展開となった。
レースは全車が浅溝のインターミデイエイトタイヤを履いてスタート。ポールシッターのニコ・ロズベルグが先頭のポジションを守り、2番手以下にウイリアムズのバルテッリ・ボッタス、セバスチャン・ベッテル、フェルナンド・アロンソ、ジェンソン・バトン、そしてリカルドと続いた。
最初にセーフティカーが出たのはレース8周目。後方を走っていたケータハムのマーカス・エリクソンが単独クラッシュを喫すると、ここで5番手バトン以下のマシンが一斉にピットへ向かい、タイヤをドライ用のソフトタイヤにスイッチする。
一方、先頭のロズベルグを含むトップ4はピットインのタイミングが1周遅れ、コースに復帰したロズベルグは4番手に後退してしまった。
これでレースリーダーには一旦バトンが立ったが、マクラーレンはさらなる雨を予想してインターミディエイトを履いていたため、レース再開後すぐにピットイン。代わってレッドブルのリカルドがトップに立ち、2番手にフェリペ・マッサ、3番手アロンソのオーダーと変わり、ポジションを落としたロズベルグはトロロッソのジャン-エリック・ベルニュとフェラーリのアロンソに立て続けにオーバーテイクを許してしまった。
その後、今度は23周目にフォース・インディアのセルジオ・ペレスがホームストレートで単独クラッシュを喫し、この日2回目のセーフティカーが出動する。ここで先頭のリカルドと2番手のマッサ、そして最初のピットで大きく順位を落とした9番手ボッタスが早くも2度目のピットストップを敢行。
27周目にレースが再開すると、アロンソが先頭でレースを引っぱり、トロロッソのベルニュがロズベルグを抑えて2番手を走行。そしてピットスタートから早くも挽回に成功したハミルトンが4番手ベッテルのすぐ後ろまでポジションを上げ、上位の争いに加わる展開となった。
一方、3番手のロズベルグは32周目に2度目のピットストップを行うが、それまで前を走っていたベルニュに抑え込まれたことも影響し、アロンソの翌周39周目にピットインしたハミルトンにも先行を許してしまう。その後ロズベルグは、再度リーダーに浮上したリカルドの3度目のピットストップの2周後、56周目に最後のピットストップを行ったが、トップから10秒内の4番手で復帰したリカルドに対し、ロズベルグは20秒以上後方となる暫定6番手でコースに復帰することとなった。
残り20周となって上位はアロンソ、ハミルトン、リカルド、ロズベルグのオーダーと変わるが、トップ2台はすでに2ストップで最後まで走りきる戦略をとっていたため優勝争いは2秒の僅差でバトルを繰り広げるトップ3台に絞られた。
ここで先頭を走るアロンソは自身のソフトタイヤが30周に迫っており、徐々に苦しいドライブを強いられるものの、ミディアムタイヤでオーバーテイクをうかがうハミルトンを巧みなドライビングで抑え続ける。しかし残り4周となったところで最もフレッシュなタイヤを履くリカルドがハミルトンをオーバーテイクし2番手に浮上すると、翌周にはアロンソまでも一気にパス。最後までもつれたレースで最後に見事な逆転劇を演じたリカルドがそのままトップでチェッカーを受け、今年のカナダ以来となる通算2勝目を挙げた。
アロンソは最後までハミルトンを抑え続け、今シーズンのベストリザルトとなる2位でフィニッシュ。一方、フェラーリを攻略できなかったハミルトンだが最終ラップで自身にオーバーテイクを試みたロズベルグを大胆な幅寄せでブロック。ピットスタートという大きなハンデもはね除け、14ポイントあったチームメイトとの差を11ポイントに縮めてみせた。
5位はウイリアムズのマッサ。6位にフェラーリのキミ・ライコネンが入り、途中でスピンを喫したベッテルは7位となった。ケータハムの小林可夢偉は24周で燃料システムにトラブルが生じリタイアに終わっている。
ハンガリーGPを終えたF1は恒例のサマーブレイクに突入。後半戦の初戦となる第12戦ベルギーGPは8月24日に決勝が行われる。