それにしてもルイス・ハミルトンはツイていませんね……。前々回イギリスGPでは予選最終盤の路面状況回復を読み切れずに下位に沈み(これは自身のミスとも言えますが)、前戦ドイツGPではQ3最初のアタックでブレーキ破損によりクラッシュ、そして今回は燃料漏れによりマシン後部を燃やしてQ1敗退……。まだ白煙を上げるマシンを、がっくりと肩を落として見つめる姿は印象的でした。
対するニコ・ロズベルグは3戦連続ポールポジション。特に今回のQ3、雨が降ってくるという難しいコンディションに先頭に飛び込んでいったにも関わらず、1コーナーで僅かにコースオフするだけ(すぐ後方を走っていたケビン・マグヌッセンはクラッシュ)で済みました。彼は「ラッキーだった」とコメントしていますが、ツキだけではないでしょう。ロズベルグの判断能力、ドライビング能力が長けていたからこそ、困難をくぐり抜けることができたと思われます。そして、結局セバスチャン・ベッテルに対して0.5秒の差を付け、ポールポジションを獲得しました。
トラブルなどが発生しない限り、ロズベルグがポールポジションから逃げ、先頭でチェッカーを受けるでしょう。ロングランのペースもメルセデスAMGは群を抜いており、2番手以降のマシンが逆転できる可能性は、非常に少ないと言えそうです。仮にスタートで2番手スタートのベッテルが先頭を奪ったとしても、タイヤ交換のタイミングでアンダーカット(前走車よりも早いタイミングで新しいタイヤに交換し、そのタイム差で順位を逆転する戦略)すればいいわけです。
ベッテルは、3番手スタートのバルテリ・ボッタスから2位を死守するレースになるでしょう。ボッタスのウイリアムズは今回も最高速が伸びており、スピードトラップ(今回はメインストレートエンドに設定)での最高記録は314.8km/hとベッテル(304.6km/h)より10km/hも速いのです。ベッテルにとっては一瞬たりとも気を抜けない、非常に厳しいレースになるでしょうが、ハンガロリンクは抜きにくいコース。どこまで抑えることができるか……ベッテルの腕、見せてもらいましょう。
注目はボッタスの後ろ、4番手からスタートするダニエル・リカルドです。リカルドは新品のソフトタイヤを2本残してレースをスタートすることができる、トップ10スタート唯一のドライバー。ピレリの発表によれば、決勝レースは3ストップ戦略が主流。ソフト→ソフト→ソフトと繋いで、最後の5周のみミディアムを使うのが、最も速いプランだということですが、リカルドはスタート時のみ中古タイヤを使用し、残りは新品タイヤで走り切ることができます。このアドバンテージをどう活かすかという部分にも、注目したいところです。
5番手スタートのフェルナンド・アロンソもレースペースは良さそうで、リカルドに肉薄してくるでしょう。フェリペ・マッサもこれに追従する可能性が高いですが、7番手スタートのジェンソン・バトンは、金曜フリー走行の結果からするとレースペースは悪いはずで、マッサから徐々に離れ、トロロッソ勢との争いとなるでしょう。
トップ10スタートのドライバーでもうひとり注目しておきたいのが、9番手スタートのニコ・ヒュルケンベルグです。ヒュルケンベルグは金曜日のフリー走行で、非常に速いペースでロングランを行っていました。しかも、ソフトタイヤでもミディアムタイヤでも、ほとんどデグラデーションはなし。フォースインディアお得意の他とは違う作戦(たとえば2ストップ戦略などでしょうか?)で、上位をかき回してくる可能性も十分に考えられます。
Q1でマシンが炎上してしまったハミルトンは、ピットレーンからのスタートが決まっています。ここからどこまで追い上げてくるのか? ハンガロリンクは前回のホッケンハイムリンクと比べても、オーバーテイクが非常に難しいコース。しかも、隊列の後方にはマグヌッセンやライコネンといった、抜くのが厄介な相手もいます。とはいえ、チャンピオン争いでこれ以上ロズベルグに離されたくない。怒涛の追い上げを可能とする、大胆な戦略を計画しているかもしれません。今度こそ、運はハミルトンに味方するでしょうか……。
さて、気になるのが決勝レース時の天候です。色々な予報があって何とも言えないのですが、中には13時から雷雨というものもあります。そう、レーススタート時から大荒れの天候になる可能性もあるのです。そうなった場合、レースがどのような展開になるのか、予想は非常に難しい。まずは決勝レーススタート1時間前に当サイトで配信する、「決勝直前情報」をご確認ください。
(F1速報)