ハンガリーGPのパドックで、ホンダのF1総責任者である新井康久/本田技術研究所取締役専務執行役員四輪レース担当から、気になるホンダのエンジン開発の現状について、興味深いを聞くことができた。
現在、最も苦労していることは、空力パッケージだという。「出力を上げるなら、冷却機能を大きく採りたいが、そうすると空力的にデメリットが出て遅くなる。いかにマクラーレンの要求を満たすように、コンパクトにまとめるかが課題です。さらに重心も下げたいし……」
今年、好調のメルセデスAMGが採用しているターボのタービンとコンプレッサーを分離したパッケージについて、4月に時点では通常型と分離型のどちらを採用するかまだ決めていないと語っていたが、それについては「もう少し待ってください。9月か10月には決定しますので」と、最終決断の日が近いことを臭わせていた。
また、ターボ供給業者がIHI(石川島播磨工業)に決定したという報道についても、「そういう報道がヨーロッパであったことは知っていますが、まだ決定はしていません。まだ複数のメーカー、例えばギャレットなども視野に入れて最終調整しています」と語った。ターボ供給メーカーの選定に時間がかかっている理由を新井総責任者は、「分離型にするかどうかによって決まることなので」と説明。これに関しても、今秋あたりに決定する予定だ。
また燃料に関しても、「燃料によって約10馬力も変わることがあるので、非常に重要。時間をかけて決めたい」と語り、日石、出光、シェル、BPなど、複数の燃料メーカーと今後、交渉を詰めていく予定だという。
(尾張正博)