2014年07月25日 20:21 弁護士ドットコム
国連人権委員会が日本政府に対して、差別をあおる宣伝活動(ヘイトスピーチ)を禁止することなどを勧告したのを受け、日本国内の非政府組織(NGO)23団体は7月25日、東京・永田町で共同記者会見を開き、政府が「国連勧告」にしたがって対策を実行するよう求めた。
【関連記事:レイシストになる自由はあるか?社会学者・明戸隆浩氏が語る「ヘイトスピーチ規制論」】
日弁連を代表して出席した海渡雄一弁護士は「マスコミは、この勧告には法的拘束力がないと報道している。しかし、日本は(国連の)規約を批准しているので、人権委員会の勧告を、国際法上、誠実に順守する義務がある」と強調した。
日本の人権をめぐる状況を6年ぶりに審査した国連人権委員会は7月24日、日本政府に対して勧告をおこなった。「代用監獄」など、人権委員会で繰り返し取り上げられてきた問題にくわえ、秘密保護法やヘイトスピーチ、福島原発事故など、日本社会を象徴するような問題の解決も対象となった。
今回の勧告の注目点の1つは、人種差別問題だ。国連人権委員会は、在日韓国・朝鮮人などに対する憎悪や差別をあおる発言(ヘイトスピーチ)や、「ジャパニーズ・オンリー(日本人以外お断り)」などの横断幕がスポーツ施設に掲げられたことに対して懸念を示した。そのうえで、人種的優越や憎悪をとなえる宣伝や排外的なデモを禁止するよう求めている。
この日の記者会見で、ヘイトスピーチ問題などに取り組む「反差別国際運動」の小森恵事務局長は「勧告は大変歓迎すべきだ」と表明。そのうえで、「政府は、『日本の人種差別は、法規制が必要なほど深刻ではない』と反論してきたが、この勧告で間違いだったことが明らかになった。法律を制定するように動かなければいけない」と述べ、ヘイトスピーチなど差別的表現を法律で規制するよう強く訴えた。
(弁護士ドットコム トピックス)