ハンガリーGPのパドックで、ホンダに関してちょっと気になるウワサを耳にした。それはホンダのコンサルタント業務を行っているジル・シモンと、ホンダとの契約更改が暗礁に乗り上げているというのだ。
フランス人のシモンは、ジャン・トッドとともに93年にプジョーからフェラーリのF1部門に移籍。パオロ・マルティネッリの下、エンジンの開発を行った人物である。その後、マルティネッリがチームを離脱すると、エンジン部門のテクニカルディレクターに就任。トッドがフェラーリを離れた09年からは、FIAのエンジン関連の技術部門に就き、今年から導入された新しいエンジンのレギュレーション策定に尽力した。
2011年にFIAを離脱したシモンに目をつけたのが、ホンダだった。新井康久(本田技術研究所取締役専務執行役員四輪レース担当)は次のようにシモンの役割を話す。
「ジル・シモン氏には、コンサルティング業務をお願いしています。実際にはレギュレーションの詳細理解とか、そういうところを手助けをしていただいています。ただ、『社内にいるのではないか』という話もありますが、研究所の中で仕事をしているわけではありません。我々とはミーティングで、いろいろ情報交換を密にさせていただいております。FIAでレギュレーションを作っていったこともありますので、そういう意味ではなぜこのレギュレーションができているのか、どういう考えなのか、ということをちゃんと理解するためにも、重要な存在です」
しかし、これはホンダがF1復帰を発表した直後の2013年の6月の話。すでに1年以上ものコンサルタントとして活躍してもらい、2015年に向けてエンジンの概要が徐々に煮詰まりつつあるホンダにとって、そろそろシモンの協力は必要なくなったとして不思議はない。
一方で、こんなウワサもある。それは「ホンダの未来を悲観したシモンが、自らホンダとの契約更改に応じなかった」と。もし、これが本当であれば、ホンダの2015年はかなり厳しい戦いになることが予想される。
今回、ハンガリーGPをホンダの関係者が訪れるという。機会があれば、その件を確認し、続報したいと思う。
(尾張正博/F1速報)