2014年07月24日 19:51 弁護士ドットコム
自らの女性器をスキャンし、3Dプリンターで出力するためのデータをつくって配布したとして、「わいせつ電磁的記録媒体頒布」の容疑で逮捕され、その後釈放された芸術家ろくでなし子さんが7月24日、東京・有楽町の外国特派員協会で海外メディア向けの記者会見を開いた。
【関連記事:「私の身体はわいせつじゃない」釈放された「ろくでなし子」さんが会見【動画あり】】
集まった外国メディアの記者たちに対し、ろくでなし子さんは「活動の意図を一人でも多くの人に知ってもらいたい」と、なぜ女性器をテーマにした作品をつくっているのかについて、説明した。
「そもそも私は、自分の肉体から離れた造形物を『身体の一部』とみなしていません。石膏やシリコン作品についても、私の肉体をもとにした造形だったとしても、『肉体性を有するもの』とは考えていません。
『ここを触ると気持ちが良いんだろう』と、石膏作品を触ってみせる男性もいましたが、石膏をさわって気持ちが良くなれば、そんな楽なことはありません。そういった浅はかな男性の存在もまた、私の『まんこアート』の原動力となっていました」
このように述べたあと、ろくでなし子さんは、現在のマスメディアの状況に対する疑問を口にした。
「日本のメディアでは、『まんこ』と発言したり、表記することが不可能な状況です。
テレビでは、『まんこ』という言葉がノイズでかき消され、『まんこ』と発言した女性有名人たちが番組を下ろされるという事件も実際に起こっています。一方、『ちんこ』は、特に問題とならないのも、大きな疑問です。
紙媒体でも、『まんこ』は伏せ字を使って表記されることがほとんどです。そういった『女性器、わいせつ、隠してあたりまえ』という常識とその弊害について、あらためて疑問を提示するために、私は活動を続けてきました」
「女性器は、女にとっては、生理、セックス、妊娠、出産と、自分の肉体の一部としてあまりにも身近なものです。
ところが、『わいせつ』という言葉によって、女性器がどこか遠い存在になっている。これはおかしいのではないか。そういった思いが私の根底にあります。
女性器はありのままでいいのではないかという考えが、私に『デコまん』やそのほかの作品類を作らせているのです」
この「デコまん」とは、ろくでなし子さんの作品で、女性器をかたどった石膏をデコレーションするシリーズのことだ。
「おかげさまで、女性の間で『デコまん』は大人気で、作りたいという女性からの声も多いです。女性は、性器と向き合う機会が非常に少なく、身体の一部なのに、ゆがんだイメージ持っている人も多いです。
私もそうでしたが、『デコまん』は、自分のありのままを愛するきっかけにもなっています」
私もそうだ――というのは、ろくでなし子さんが女性器をモチーフにした作品づくりを始めたきっかけが、女性器の整形手術を受けたことだからだ。ろくでなし子さんは、手術を受けた理由について、次のように答えた。
「日本では性器にモザイクがかけられるので、どういうものかが分かりづらい。わかんないのです。モザイクをかけられているので、他の人がどういう形かもわからないのですね。ネットで検索すれば(無修正画像が)出てくるという知識もなかったので・・・。
自分の形が人よりも変なんじゃないか、という悩みを抱えていたのです。それで、整形手術をしたんです。そして、手術を受けた後に、私の形は特に異常じゃなかった、ということに気づきました」
こうした体験が、ろくでなし子さんの作品づくりにつながっているわけだ。
今回のデータ送付については、「クラウドファンディングでの作品制作に賛同してくれた方、つまり、『まんこ』はわいせつではないという考えに賛同してくれた方に対して送ったもの」「データをもとに、ひとりひとり、『まんこ』を使った面白い作品を作ってみてほしい、という考えだった」と主張した。
さらに、データのわいせつ性については、「わいせつとは思いません。わいせつとか嫌らしいものというのは、性行為をほうふつとさせる、挿入とかセックスをしているものとか、そういうものだと思っています。単に性器の一部分を切り取ったものがわいせつかどうかというと、わたしはそうは思いません」と話した。
さらに、話が6日間の留置場体験に及ぶと、記者たちからは「もっと聞かせてほしい」という声が。ろくでなし子さんはそれに対して、「いつかマンガにします。読んでください」と話していた。
<ろくでなし子さんの会見動画はこちら>
https://youtube.owacon.moe/watch?v=JPRR0F1tiSg
(弁護士ドットコム トピックス)